米環境保護局、政策批判の公開書簡に署名した職員約140人を休職扱いに

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自身の指名公聴会で証言する米環境保護局(EPA)のリー・ゼルディン長官=1月/Ting Shen/AFP/Getty Images

自身の指名公聴会で証言する米環境保護局(EPA)のリー・ゼルディン長官=1月/Ting Shen/AFP/Getty Images

(CNN) 米環境保護局(EPA)の職員らが、環境や公衆衛生に関するトランプ政権の政策に対して懸念を表明する公開書簡を発表した。これに対してEPAは、書簡に署名した職員のうち約140人を休職扱いとした。

CNNが参照した内部メールによると、署名した職員はEPAによる「行政調査」の対象とされ、7月17日まで休職扱いとなる。

書簡ではトランプ政権の政策をめぐり、EPA研究開発局を解体し、環境保護プログラムや助成金を取り消し、職員を恐怖に陥れ、国民の信頼を失墜させ、「汚染者を守るために科学的コンセンサスを無視する」など主に5項目の懸念を挙げ、「そうした行為によってEPAのミッション遂行能力が直接的に損なわれた」と述べている。

こうした懸念に対するEPAのリー・ゼルディン長官の反応は過酷だった。

ノースカロライナ州にあるEPA研究開発局職員のスカーレット・バンダイク氏はCNNの取材に対し、休職扱いとされた後、上司によって庁舎から退出させられたと証言した。

「私は極めて有能な職員とみなされているので、上司から出て行かなければならないと告げられて打ちのめされた」「EPAの執行部が示している方向性に反対する書簡に署名しただけで、これほど露骨な報復を受けたことに衝撃を受けている」とバンダイク氏は言う。

EPAの広報は、「この国の偉大な国民が昨年11月の選挙で選んだ政権の政策を、キャリア官僚が違法に弱体化させ、妨害し、おとしめることは一切容認しない」との声明を発表した。

6月30日に公開された書簡には、実名のEPA職員170人を含めて270人あまりが署名した。170人のうち140人が休職処分を受け、残る約30人が処分を受けなかった理由は不明。中には既に休職していた職員もいるが、書簡に署名した職員のアメリア・ハーツバーグ氏は、組合幹部は休職を免れたようだと話している。

EPAは職員に宛てたメールで、今回の調査と休職について「懲戒処分ではない」と説明。その上で、調査の一環として連絡が取れるよう、対象者はEPAの担当官に電話番号などの連絡先情報を伝えなければならないと指示した。

CNNの取材に応じた複数のEPA職員は、書簡に対するゼルディン長官とEPAの激しい反応に驚いたと話す。国立衛生研究所(NIH)の職員も先月、同様の懸念を伝える公開書簡を発表していたが、これほどの報復には遭わなかった。

やはり休職扱いとなった別の職員も「私たちは憲法を支持し、守ることを誓った。科学と法に従うことを約束した。彼らは私たちを脅し、一切の抵抗を始まる前に押しつぶそうとしている」と訴える。

ハーツバーグ氏は、ゼルディン長官の耳に反対意見がほとんど届かないのは、職員が恐れているからだと指摘。「長官は否定的な意見を聞かされると、即座にその相手をEPAの敵とみなす」「科学は最優先でなければならず、規制は守られる必要がある。私たちがそう言ったという事実、そして長官がそれをEPAの優先課題に反するとみなしたという事実を憂慮する」と話している。

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