米国防総省、トランプ氏の物議醸す命令に備え対応協議 当局者
(CNN) トランプ次期米大統領が現役兵士の国内任務への動員や、非政治任用職員の大量解任を命じた場合にどう対応するか、国防総省の当局者が非公式に協議していることが分かった。国防当局者がCNNに明らかにした。
トランプ氏はかねて、現役兵を国内の法執行任務や大量送還任務に投入することに前向きな姿勢を示唆。連邦政府を自身に忠実な人材で固め、米国の国家安全保障エスタブリッシュメントにいる「腐敗した関係者を一掃」したいとの考えを示している。
トランプ氏は前回の任期では、軍高官の多くと緊張関係にあった。現在は退役したミリー元統合参謀本部議長は在任中、トランプ氏の核兵器使用能力を制限する措置を実行。一方、トランプ氏は米軍の将官を「意識高い系」「弱腰」「無能な指導者」などと形容する場面が目立った。
当局者は現在、国防総省の全面刷新に備えて様々なシナリオを検討中だ。
国防当局者の一人は「我々は全員、最悪のシナリオに備え準備を進めている。ただ、どういう展開が待っているのかまだ分からないのが実情だ」と語った。
トランプ氏の当選を受け国防総省内では、大統領が違法な命令を発した場合、特にトランプ氏に政治任用された者が反対しない場合、何が起きるのかという疑問の声が上がっている。
別の国防当局者は、「軍は違法な命令には従わないことが法律で義務付けられている」と指摘。「だが問題は、そのときに何が起きるのかだ。軍の高官が辞任する事態になるのか、それとも辞任すれば国民を見捨てることになると考えるのか」と問いかけた。
トランプ氏が国防長官に誰を起用するのか、現時点では不明だ。ただ、当局者の間では、トランプ氏や周囲は1期目のように軍と「敵対的」な関係に陥るのは避けようと努めるとの見方が出ている。
国防当局者はまた、トランプ氏が2020年の大統領令「スケジュールF」を再導入した場合に影響を受ける文民職員を特定する作業に追われている。これが実施されれば、米政府内の非政治任用のキャリア職員は大部分が再分類され、解任がより容易になるとみられる。
オースティン米国防長官は5日、「何が起きようと、我々のリーダーは今後も正しい行動を取ると全面的に信頼している。連邦議会も引き続き、米軍を支援する正しい対応を取ると考えている」と述べていた。