ANALYSIS

ハリス氏、世論調査で「最高」の支持率獲得 米大統領選

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米民主党の大統領候補、カマラ・ハリス副大統領

米民主党の大統領候補、カマラ・ハリス副大統領

(CNN) 米国で最も優れた世論調査機関の一つが先ごろ、最新の調査結果を発表した。これは、11月の米大統領選本選に向けて、民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス副大統領にとって朗報だ。

セルザー・アンド・カンパニーが、デモイン・レジスター紙とメディアコム・アイオワ・ポールのために実施した世論調査では、支持率はドナルド・トランプ前大統領が47%、ハリス氏が43%だった。これは誤差の範囲に含まれる。アイオワ州ではトランプ氏が2度快勝している。この世論調査は先週、トランプ氏暗殺未遂事件が発生した15日より前に実施された。

アイオワ州が11月の大統領選に決定的な影響を及ぼす可能性は低いが、トランプ氏が優勢だった州で接戦を示したセルザーの調査結果は、世論調査の正確さの面でも、隣接するウィスコンシン州での勝利の可能性の面でも、ハリス氏にとっていい兆候かもしれない。

セルザーの調査がこれほど重要な理由は、他の世論調査機関が苦戦している時代にあって正確であり続けているからだ。4年前の大統領選の数日前、他の世論調査は民主党のジョー・バイデン氏がアイオワ州ではるかに有利な立場だとしていた一方で、セルザーの調査はトランプ氏の7ポイントリードを示していた。筆者は当時、「この一つの世論調査がトランプ支持者に希望を与え、民主党に不安を与えている」と指摘した。

民主党が心配するのももっともだ。トランプ氏はアイオワ州で8ポイントの差で勝利しただけでなく、選挙前の世論調査では1桁台後半の差で劣勢だったウィスコンシン州でも僅差(きんさ)に迫る善戦を見せた。トランプ氏は他の多くの激戦州でもはるかに良い結果を出すだろう。

同様のシナリオは2016年にも展開された。セルザーの最終世論調査ではトランプ氏がアイオワ州で7ポイントリードしていた。そして実際に9ポイント差で勝利し、ヒラリー・クリントン氏との選挙戦を制した。トランプ氏はほとんどの激戦州の調査結果を上回る結果を残している。

筆者を含め多くの人は今年も世論調査がまた失敗するのではないかと懸念している。多くの世論調査機関が16年と20年に起きたことを防ぐために調査方法や重み付けを変えようとしてきたが、それでも間違える可能性はある。

しかし、セルザーのアイオワ州の最新世論調査は、あまりにも接戦で優劣を予測できないとする他の世論調査機関が現時点でトランプ氏を過小評価していないことを示唆している。

この結果は人口統計が似ている隣のウィスコンシン州の数字を見ても納得できる。ウィスコンシン州は世論調査が接戦としている七つの激戦州の一つだ。しかし、ハリス氏は同州で最高の世論調査結果を複数得ている。

有名なマーケット大学法科大学院が実施した直近の世論調査では、投票する可能性の高い有権者の間でハリス氏の支持率は52%、トランプ氏の支持率は48%だった。マーケット大、CBSニュース/ユーガブ、CNN/SSRSの最近の世論調査の平均ではハリス氏が4ポイント上回っている。

4ポイントの差はそれほど大きくなく、トランプ氏ならひっくり返すことも簡単かもしれないが、他の重要な激戦州と比べるとその差は際立っている。ハリス氏とトランプ氏は他の六つの激戦州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア)では僅差の傾向がある。

さらにハリス氏の4ポイントリードは、20年にウィスコンシン州でバイデン氏が勝利した際の0.6ポイント差よりも大きい。この結果は、選挙前の同州世論調査でバイデン氏がリードしていたとされるポイントを大きく下回るものだった。同州の調査は16年にクリントン氏を過大評価し、同氏は民主党候補として1984年以降初めてウィスコンシン州で敗北した。

セルザーの世論調査がアイオワ州でも同じようにハリス氏に有利な変化を示しているという事実から、ウィスコンシン州の世論調査も的を射ているかもしれない。

ウィスコンシン州でハリス氏が勝利したところで、同氏の勝利はどう考えても確実になるわけではない。(すでに同氏に有利な州も含め)同州の10人の選挙人を獲得したとしてもなお、同氏は他の六つの激戦州のうち少なくとも2州を制する必要がある。

一方でウィスコンシン州を制すれば、ハリス氏の勝利の可能性は高まる。ほとんどの専門家は同氏がウィスコンシン州で勝てば、勝利の可能性は50対50ではなく、75%近くになると予想するだろう。これは同氏にとって大きな方向転換だ。

それでも75%の勝利の可能性は何の保証にもならない。トランプ氏が勝つ可能性は基本的にコインを2回続けて投げて表が出る確率と同じだ。

今回のセルザーの世論調査は外れ値である可能性もあれば、今から選挙日までの間に変わる可能性も大いにある。セルザーの20年9月の世論調査は、その年の最終調査よりもバイデン氏にかなり有利で同率を示していた。

しかし今回の調査結果はバイデン氏がまだ選挙戦を続けていた6月の調査よりもはるかにいい。当時はトランプ氏が18ポイントリードしていた。

結論として、セルザーの世論調査はないよりはあったほうがずっといい。そして現時点では、調査はハリス氏にとって、クリントン氏やバイデン氏のときよりも良い結果を示している。

本稿はCNNのハリー・エンテン記者による分析記事です。

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