OPINION

バイデン氏、大統領就任最初の危機で躓く

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バイデン氏は大統領として迎えた最初の危機に足元をすくわれようとしている/Oliver Contreras/Pool/Getty Images

バイデン氏は大統領として迎えた最初の危機に足元をすくわれようとしている/Oliver Contreras/Pool/Getty Images

(CNN) 古いことわざにこうある。問題を解決する第一歩は、問題があるのを認めることだ。だが米国のバイデン政権は、この第一歩が踏み出せない。我が国の南側の国境では、危機的状況がいよいよ明らかになりつつあるというのに。

現在中米とメキシコから、数万人の移民が米・メキシコ国境めがけて押し寄せている。うち数千人は同伴者のいない未成年だ。2月、米税関・国境警備隊(CBP)は10万人を超える移民が国境を越えるのを確認したと発表した。1月からほぼ30%の増加だ。1万人近くは同伴者のいない未成年で、現在米国はこうした未成年1万4000人以上を拘束している。

スコット・ジェニングス氏/Courtesy of Scott Jennings
スコット・ジェニングス氏/Courtesy of Scott Jennings

そして問題は日々悪化の一途をたどる。

にもかかわらず、ホワイトハウスのサキ報道官は22日、現状を「危機」と呼ぶのを拒否。代わりに「事情」と形容した。時を同じくしてバイデン政権は、国境施設への記者の立ち入りに制限をかけている。この措置はすぐさまCNNをはじめとするメディアからの反発を招いた。

国境の状況を示す直近の写真が22日午前、民主党のヘンリー・クエラー下院議員(テキサス州選出)から提供された。同氏はテキサス州ドナにある過密状態の施設を訪れ、危機を直接目撃した。同氏が米ニュースサイトの「アクシオス」と共有した画像には、ビニールの仕切りの中に閉じ込められた大勢の子どもたちが写っていた。

そう。子どもたちは施設の中に集団で押し込められ、床に敷いたマットで寝ている。アルミホイルのような掛け物をあてがわれて。左派はトランプ前大統領が国境で「子どもたちをおりに入れている」と散々大騒ぎしていたが、バイデン氏は今や2つの政権を通じ(最初は副大統領、今は大統領として)、移民の子どもたちを劣悪な環境に留め置いている。

トランプ政権でこうした事態が起きた時、同氏のスタッフや閣僚は執拗(しつよう)にたたかれ、厳しく問い詰められ、果ては抗議の声が上がる中でレストランから退去させられることさえあった。米誌タイムに至っては、仁王立ちするトランプ氏が泣き叫ぶヒスパニック系の幼い女の子をじっと見下ろす写真を表紙に使っていた。

間違いないことだが、現在の状況は危機的だ。そしてこれはバイデン氏が招いたものである。ここまで一部のメディアが、複数の移民のインタビューに成功した。何度も何度も、記者たちは同じ話を聞かされる。それによると、これらの移民が米国に来るのは、バイデン氏が来てもいいと言ったからなのだ。バイデン氏は不法移民の強制送還のほとんどを100日間凍結すると発表。連邦地裁はこの措置の一時差し止めを命じたが、さらに同氏はトランプ政権での「メキシコ残留」政策を終わらせ、トランプ氏による国境の壁の建設も停止した。途中で建設を止めることの合法性については疑問を投げかける学者もいる。

昨年の選挙で民主党と共和党を明確に隔てる一線が存在したとすれば(直近2人の大統領の行動でもそうだが)、それは移民政策だった。バイデン氏はトランプ氏のいわゆる「人種差別的な」政策に対抗し、同氏による移民制限と国境の治安対策を撤回すると約束した。メッセージは声高に、そして明確に届いた。トランプが去れば、国境は開くのだと。

大統領に就任した今、馬鹿げた話だが、バイデン氏と同氏が選んだ国土安全保障長官は、願いをかなえてくれるはずの魔人をランプの中へ戻そうとしている。バイデン氏が移民に来ないでほしいと告げ、マヨルカス長官が「国境は閉じている」と訴える。もはや手遅れである。

ただ、やってしまったことは取り返しがつかず、バイデン氏が大統領として最初に迎える危機はもうすぐそこまで迫っている。本人が認めようと、認めまいと。

スコット・ジェニングス氏はCNNへの寄稿者で、共和党の選挙対策のアドバイザーを務める。過去にはジョージ・W・ブッシュ元大統領の特別補佐官やミッチ・マコネル上院議員の選対アドバイザーを歴任。ケンタッキー州ルイビルにあるランスイッチ・パブリック・リレーションズのパートナーでもある。記事の内容はジェニングス氏個人の見解です。

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