司令官殺害から1年、米国とイランが軍事活動強化 紛争の懸念高まる

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ペルシャ湾で米国とイランの間の緊張が高まっている/Shutterstock

ペルシャ湾で米国とイランの間の緊張が高まっている/Shutterstock

ワシントン(CNN) 中東ペルシャ湾で米国とイランの緊張が高まっている。3日には米国がイラン革命防衛隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害してから1年の節目を迎え、また約3週間後にはバイデン次期大統領の就任も迫る中、紛争の可能性を懸念する声が強まっている。

イランは12月31日、国連安保理に対し、米国によるペルシャ湾やオマーン海での「軍事的冒険主義」の強化を阻止するよう要請。米国が核兵器を搭載可能な爆撃機を中東に派遣したことにも触れた。紛争は望まないとしつつ、必要なら自衛の措置を取ると言明した。

一方、最新の諜報(ちょうほう)を知る米当局者は1日、CNNに対し、イラン海軍の一部が過去48時間のうちに即応態勢を強化したと明かした。複数の国防当局者が今週CNNに明かしたところによると、新たな諜報ではイランが短距離弾道ミサイルをイラクに移動させていることが示されている。

軍事活動に加え、言葉の応酬も激しさを増している。コッズ部隊のトップは1日、米国の犯罪に対する報復は「米国自身の家から出てきた誰か」が実施する可能性があると示唆。これに対しトランプ米大統領は先週、米国民が殺害された場合には「イランの責任を問う」とツイートした。

ソレイマニ司令官の殺害は3日で発生から1年を迎える。米当局者の間では、イランがこの日に合わせて報復に出る可能性も指摘されている。

イスラエルのメディアはアラブ系新聞の報道を引用し、イスラエルとサウジアラビアがトランプ大統領に対して任期満了前にイランの核施設を攻撃するよう働きかけているとの匿名の米情報筋の話を大きく報じている。

米中西部ノースダコタ州マノイット空軍基地から飛来したB52に中央軍の空中給油機KC135が給油する様子=12月30日/Roslyn Ward/AP
米中西部ノースダコタ州マノイット空軍基地から飛来したB52に中央軍の空中給油機KC135が給油する様子=12月30日/Roslyn Ward/AP

ワシントンの専門家からは、トランプ氏が大統領選の結果を覆す試みの失敗から注目をそらし、また次期大統領の中東地域での計画を複雑化させる目的で、紛争の引き金を引くのではないかとの懸念の声が上がっている。米海軍大学校で教壇に立つ国際情勢の専門家、トム・ニコルス氏は「トランプ氏が大統領職を去る過程でバイデン氏に何らかの軍事作戦の責任を負わせようと考えている可能性があると心から懸念している」と語る。

バイデン氏はトランプ氏による「最大限の圧力政策」を緩め、イランとの関与を再開し、核合意に復帰したい考えだ。だが、トランプ政権内の強硬派はこうした措置に強く反対してきた経緯がある。

専門家の間では、イランが何らかの攻撃を実施するとしても、規模を慎重に調整するとの見方もある。元国家安全保障会議の当局者でCNNアナリストのサム・ヴィノグラッド氏は「バイデン氏が就任間近であり制裁解除につながる核交渉再開の動きを見せる中、イランが自らを封じ込めてしまうようなことはしたくないだろう」との見方を示した。

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