石畳の持ち去りやめて、市が観光客に呼び掛け ベルギー・ブルージュ
(CNN) お気に入りの街の「一部」をお土産にしたい――。そんな観光客の思いが時に文字どおりの行動となって表れる。
ベルギーの人気の観光地ブルージュでは、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録された中世の石畳が観光客に持ち去られる事態が相次ぎ、市が持ち帰らないよう呼び掛けを行っている。
地元政治家によると、1カ月でおよそ50~70個、ピーク期にはそれ以上の石が姿を消す。修復費は1平方メートル当たり200ユーロ(約3万2000円)に上るという。
同政治家は、「悪ふざけに見えるかもしれないが、影響は深刻だ」と指摘。石が外された穴で住民や観光客がつまずく危険があり、職員がたびたび補修に駆り出されると説明した。
なかには、抜き取った跡に花を植えて「飾った」例もあったという。「風変わりな行為だが、共有財産への敬意が欠けている。ブルージュの街を歩くことは、何世紀もの歴史の上を歩くこと。石畳は単なる石ではなく街の魂だ」
ベネチアやバルセロナと同じく、ブルージュもオーバーツーリズム(観光公害)に悩まされている。2019年には近隣のゼーブルッヘ港に寄港できるクルーズ船を制限したほか、日帰り客を減らすためパリなどでの観光の宣伝を取りやめている。