香港、観光客の受け入れ再開 「遅すぎた」と嘆く住民も
もうひとつの不安材料は、中国本土でゼロコロナ政策が続いていることだ。厳格な渡航規制が始まる前の2019年、香港を訪れる人の78%は中国本土からの旅行者だった。
飲食店経営者のマクサンス・トラバースさんにとって、受け入れ再開は手遅れだった。香港の大坑地区で営んでいたバーは、昨年、廃業を強いられた。
9年前に開店したバーは、19年の抗議運動とコロナ禍に耐えられなかった。
トラバースさんの店は、コロナ禍で閉店した多くの飲食店の1つにすぎない。有名な広東料理店も相次いで閉店した。
トラバースさんは、香港政府の盧寵茂・医務衛生局長がインタビューの中で「新型コロナの新しい変異株が浮上しない限り、香港は開かれ続ける」とした発言に憤慨した。
「私は泣いた。気落ちした。本当につらい。あのつらい気持ち。『もうやめてくれ』と言った。連続でほぼ3年。あまりに厳しかった」。自分が失ったものを取り戻すためには、単純に香港を開くだけでは不十分だとトラバースさんは訴えている。