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レンブラントの肖像画、個人コレクションから発見 20億円で落札

これまで知られていなかったレンブラントの肖像画1組が、20億円で落札された

これまで知られていなかったレンブラントの肖像画1組が、20億円で落札された/Christie's Images Ltd

ロンドン(CNN) これまで存在が知られていなかったレンブラントの「極めて希少な」2枚1組の肖像画が英国の個人コレクションから見つかり、6日の競売で1120万ポンド(約20億3000万円)超で落札された。

親近感のこもった筆致でオランダの巨匠の親族を描いた作品で、競売会社クリスティーズによると、個人所蔵のレンブラントの肖像画としては最後のものになるという。落札者の身元については公表しなかった。

絵には署名と1635年の日付が入っている。高さは約20センチで、結婚を通じてレンブラントの親戚になった老夫婦、裕福な配管業者ヤン・ウィレムス・ファン・デル・プライムとその妻ヤープゲン・カレルスを描いたもの。2人はオランダ・ライデンの名家出身だった。

2人の息子ドミニクス・ファン・デル・プライムはレンブラントのいとこと結婚し、子ども1人をもうけた。カーレル・ファン・デル・プライムと名付けられた子どもはレンブラントと一緒に修行を積んだとみられ、彼の遺言書にはレンブラントの跡取りで唯一存命だったティトゥスの名前も見える。

肖像画が描かれた1635年、モデルの老夫婦はライデンにあるレンブラントの母親の庭の隣に、自分たちの庭を取得した。

競売に先立ち、クリスティーズの専門家は声明でこの肖像画について「驚くことに、ほぼ切れ目なく歴代所有者が判明している」と説明した。

肖像画は老夫婦のひ孫、マルテン・テン・ホーブの死去の翌年にあたる1760年までこの一家の元にあった。その後はワルシャワのビンセント・ポトツキ伯爵の個人所蔵となり、1820年に短期間パリのイブリー男爵の個人コレクションに入った後、英国の初代グレンライオン男爵ジェームズ・マレーの手に渡った。

1824年6月、マレーは肖像画をクリスティーズの競売に出品。その時の目録には「レンブラント。生彩に富み、美麗な色使い」と記されている。

200年近く前に行われたこの競売の後、2枚の絵は英国の一家の個人コレクションに眠っており、専門家も存在を知らなかった。直近の持ち主の名前は公表されていない。

クリスティーズのオールドマスター(西洋絵画の巨匠)部門で副責任者を務めるヘンリー・ペティファー氏は5月、CNNの電話インタビューに対し、数年前に「ある家の所蔵品を調べる通常の査定」を行っていたところ、この絵が発見されたと説明。

「見つかった絵はすぐさま大きな関心を集めた」と振り返り、当時の所有者も驚いていたと言い添えた。

「所有者は調査していなかったのだと思う」「彼らはこの絵に期待していなかった」(ペティファー氏)

絵を目にして「信じられないほど興奮を覚えた」とペティファー氏。ただ、「その時点では結論に飛び付かなかった」という。

クリスティーズでの前回の競売の詳細を踏まえて鑑定作業が始まり、アムステルダム国立美術館で長い時間をかけ調査や科学解析が行われた。

「異例なのは、この絵が全く知られていなかったことだ」「レンブラントに関する19世紀や20世紀の文献に記載がないため、全く未知の作品だった」

モデルの身元についても、アムステルダム国立美術館の研究者が確認するまで分かっていなかった。

絵の「ささやかな、親しみを込めた即興的」な筆致からは、画家との関係の近さがうかがえると、ペティファー氏は解説する。

「正式な依頼で描かれた大作ではない」「我々の知る限り、レンブラントの肖像画では最小のものだと思う」(ペティファー氏)

2枚の絵はロンドンで6日に開催された競売「オールドマスター第1部」の中で落札された。競売全体の落札額は5390万ポンドを超えた。この夜に最も高値が付いたのはフランドル画家、ミヒール・スウェールツのそれまで知られていなかった作品で、落札額は1260万ポンド近くに上った。

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