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米朝首脳会談、ハノイの芸術家に閃き与える

Carl Court/Getty Images AsiaPac/Getty Images

2月下旬に行われた米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談は、政治的にはほとんど成果はなかったようだ。しかし、開催都市のベトナム・ハノイでは、画家からTシャツのデザイナーまで、機転の利く創作家たちが首脳会談をめぐる熱狂からヒントを得た作品を生み出しており、中にはよく売れている商品もある。

ハ・ディン地区にある工芸品工場「ハトロ」の職人たちは、葉を切り抜いてトランプ氏と金委員長の顔を描いた作品を制作している。干葉(ひば)を使って手作業で作るこのイラストの制作時間は、絵の複雑さにもよるが、1枚あたり1~2日かかる。

この切り葉アートは、当初、米朝首脳への「贈り物」として作られた。しかし、職人らが米国大使館に何度も接触を試みたが、今のところ返答はないという。

また別の場所では、地元の画家チャン・ラム・ビン氏が、画廊やカフェでトランプ氏と金委員長を描いた明るい色の肖像画を展示している。チャン氏は、流行のポップアートに近い、大胆かつ流れるような筆使いで、笑顔からシリアスな顔つきまで、両首脳のさまざまな表情を描いている。

トランプ大統領や金委員長の肖像画を100枚以上制作したという/MANAN VATSYAYANA/AFP/AFP/Getty Images
トランプ大統領や金委員長の肖像画を100枚以上制作したという/MANAN VATSYAYANA/AFP/AFP/Getty Images

チャン氏は、2015年からトランプ氏の絵を描いている(金委員長は2017年から)。これまで両首脳を同時に描いた作品は合わせて100点以上に上るが、まだ1枚も売っていないという。

チャン氏がトランプ氏の絵を描くのは、トランプ氏という人物とその政策に感銘を受けたためだ。

「(トランプ氏の)国を統治するための強い行動や活動が好きで、特に『米国を再び偉大に』という言葉は非常に気に入っている」とチャン氏は語る。

首脳会談をテーマにした作品は、ハノイ市内のさまざまな画廊や場所で見られる。ハノイの人気の観光地であるロータス水上人形劇場にも入り口の両脇にある画架に両首脳の絵が掛けられた。

Josh Berlinger
Josh Berlinger

首脳会談をモチーフにした芸術作品の大半は、公式、非公式を問わず、商品か記念品だ。

ベトナムは、首脳会談の記念切手や限定版の記念コインを発行し、環状交差点や主要な交差点には首脳会談のポスターが張られている。また地元の住民らもトランプ氏と金委員長を歓迎する独自の垂れ幕やポスターを作った。

ハノイの多くの小企業にとって、首脳会談は自社製品を宣伝するいい機会となった。あるカフェは表面に両首脳が描かれたカップケーキを販売し、また別のカフェはトランプ氏と金委員長が仲良くベトナムコーヒーを飲んでいる様子を描いたポスターを作った。

また、ホアンキエム湖の北に位置する旧市街では、旅行者相手の露店が両首脳の顔がプリントされたTシャツを販売している。

露天でTシャツを販売するチュオン・タン・ドゥック氏は、普段、1日約30着のTシャツを売っているが、首脳会談前は販売数を1日約500着に増やした。両首脳がプリントされたTシャツはこれまでに約3000着も売れたという。

旧市街で少なくとも過去20年間働いてきたチュオン氏は、首脳会談を支持しており、北朝鮮の金委員長がベトナムにならい、平和と改革を推進することを願っている。

「(米朝首脳会談は)平和を推進するためのイベントだ」(チュオン氏)

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