アメリカ杯、初優勝狙う英ランドローバー・BAR 躍進支える自動車技術
開発されたカタマランは今回のアメリカ杯で使われる艇「AC50」の原型となった。ランドローバー・BARはボーナスポイント2点を上乗せした状態で、5月に行われる同大会の予選シリーズに臨む。6月の王者決定戦でオラクル・チーム・USAに挑戦する権利を奪取するのが目標だ。
ランドローバー・BARは1月末か2月上旬にも、自チームが使用するAC50を進水させる見通し。このAC50の最高速度は、セーリングの歴史の中で最速となる時速約55マイル(時速約90キロ)に達する可能性もある。
同艇のウイングセールはボーイング737型旅客機の翼と同じくらいの大きさで、炭素繊維で作られた軽量のカタマランの上に取り付けられている。カタマランにはフォイル(水中翼)が搭載されており、艇体を浮き上がらせ、波とぶつかることなく水上を滑走させる役割を果たす。
ジャガー・ランドローバーの熱空気力学部門で上級管理職を務めるイアン・アンダートン氏によれば、英南部沿岸の都市ポーツマスにあるチームの拠点では、ウイングセールのもたらす速度を「余すところなく引き出す」べく、技術者らが自動車開発で培った知識を応用してきた。
コンピューター制御されたウイングセールは同艇を推進させる動力源であり、次の6カ月で行う試験が重要になってくる。
バミューダ諸島の風はポーツマスよりも弱いとみられるため、試験艇はこうした新条件での競技に向け最適化されてきた。これは地元英国よりも大幅に風速が低い環境の中で艇が滑走する見通しとなることを意味する。