地球最古の岩を特定?、地球史の未知の章が明らかになる可能性も カナダ
研究論争に終止符は打たれたのか?
一方で、今回の研究に関与していない科学者らによれば、ヌブアギトゥクの露頭が「地球最古の岩石」として広く認められるかどうかは、いまだ不透明だという。
フランス・リヨン地質学研究所の地球化学者で、かつてオニール氏による最初期の年代測定結果に異議を唱えたベルナール・ブルドン氏は、今回の研究について「過去の研究より大幅に改善されている」と評価した。
08年の論文と比べて優れているのは、今回使われた二つの年代測定法が、どちらも同じ年代を示しているという点だという。しかし「多少の疑問点」は残っており、データをより詳しく精査したいと語った。
また、豪カーティン大学の地球科学者で上級研究員のヒューゴ・オリエルーク氏は、年代を測りやすい鉱物が存在しないため、全岩を対象にしている点を指摘。全岩試料には複数の鉱物が含まれており、含まれる鉱物のうち一つでも変質して年代が「若返る」と、理論全体が崩れかねないと指摘した。極端な高温や低温の環境が、鉱物の結晶化年代を自然に変化させる可能性にも言及した。
米ペンシルベニア州立大学で地球科学を専門とするジェシー・レイミンク氏によれば、40億年以上にも及ぶ複雑な地質史を持つ岩石や鉱物を扱う際、断定できることはほとんどないという。
「今回の研究は、説得力の面でこれまでの研究をさらに上回る強力なデータを示しており、約41億5000万年前という年代を裏付けた」としている。