「驚異的な」化石、最古のアリの謎に迫る あごに解剖学的特徴
時代とともに失われた解剖学的特徴
研究によれば、現在、アリは地球上で最も目につく、最も数が多い昆虫のグループの一つで、南極大陸をのぞくすべての大陸で発見されている。
しかし、アリは常に繫栄していたわけではない。アリはジュラ紀後期から白亜紀前期にあたる約1億4500万年前に進化し、その祖先はスズメバチやミツバチを生み出すグループから分岐した。
研究によれば、6600万年前に小惑星の衝突によって恐竜などの生き物が絶滅した後、アリは化石の記録で最も多く見つかる昆虫になった。
ニュージャージー工科大学で昆虫の進化史を研究しているフィル・バーデン准教授は、今回の化石について「かなり重要なもの」と指摘した。バーデン氏は今回の研究に関与していない。
バーデン氏は「この新たな発見は、現在知られている最古のアリを代表しており、アリの化石記録を約1000万年延長するものだ」と指摘。化石のアリは19世紀から記録があるが、これまで1億年以上前のアリが存在しないのは、存在していなかったからなのか、探している堆積(たいせき)物の中に保存されていなかっただけなのか分かっていなかったという。
今回見つかったアリの最も印象的な点は特異な解剖学的な特徴だった。現在のアリは横方向、つまり左右に物をつかむあごを持っている。しかし、この地獄アリは、頭部と並行に位置し、目の近くから前方に突き出た鎌のようなあごを持っていたという。
レペコ氏によれば、獲物を捕食する際に上方向に移動する一種のフォークリフトのように機能していた可能性がある。
「複雑な形態は、これらの最古のアリでさえ、現代のアリとは大きく異なる洗練された捕食戦略をすでに進化させていたことを示唆している」(レペコ氏)