乳がんに関連する化学物質76種類、食品包装を通じて体内に 新研究
(CNN) 乳がんに関連する約200種類の化学物質が食品包装やプラスチック製食器類の製造に使用されており、そのうちの数十種類が人体に入り込む可能性があることが分かった。学術誌「フロンティアーズ・イン・トキシコロジー」に24日に発表された新たな研究で明らかになった。
研究の共著者であるジェーン・マンケ氏は「世界中で最近購入された食品接触材に含まれ、乳がんを引き起こすとされる物質またはその可能性がある物質76種類が人の体内にあるという強力な証拠がある」と述べた。
同氏は食品供給からこうした物質を排除することは、がんを予防する大きなチャンスだと話す。
食品包装で最近検出された化学物質のうち40種類は、すでに世界中の規制当局によって有害物質に分類されている。
しかし化学物質と女性の健康の関連に特化した研究機関サイレント・スプリング・インスティトゥートのジェニー・ケイ氏によると、こうした化学物質は「それでも食品接触材への使用が認められており、私たちが口にする食品に混入する可能性がある」。
50歳未満の女性の乳がん発症率は上昇しており、専門家らはこの傾向は遺伝学だけでは説明できないと述べている。
プラスチック、紙、段ボールに含まれる発がん物質
この研究では、乳がんの既知の発がん物質に関するサイレント・スプリング・データベースと、フード・パッケージング・フォーラムが作成した食品接触化学物質データベース(FCChumon)を比較した。FCChumonは、人間の母乳、血液、尿、細胞で検出された食品接触化学物質のリストだ。
ケイ氏はこの手法について「規制措置の対象となる化学物質の優先順位を決める優れた方法だ」と述べた。
研究では、動物と人間の乳がんに関連する既知の発がん物質であるベンゼン、膀胱(ぼうこう)がんに関連する可能性のある4,4’ーメチレンビスなどの化学物質が見つかった。また、プラスチックや紙を着色する染料に使われる3,3'ージメチルベンジジンとoートルイジンも発見された。
発がん性物質への暴露の大半は食品包装に使用されているプラスチックによることが判明した一方で、紙や段ボールの容器には発がん性が疑われる物質が89種類も含まれていたことも分かった。
研究で見つかった化学物質の多くは、多くの健康問題との関連が懸念される、ビスフェノール、フタル酸エステル、PFASとして知られるペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物だった。
PFASは環境内で分解されないため「永遠の化学物質」と呼ばれることが多く、食品包装に使用されている。油や水が食品の包み紙や飲料カップに染み込むのを防ぐ効果があり、食品容器にロゴや説明を印刷するインクにも含まれている。