米研究所、核融合点火の再現に成功 無限のクリーンエネルギーに期待

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米ローレンスリバモア国立研究所の国立点火施設/Damien Jemison/LLNL

米ローレンスリバモア国立研究所の国立点火施設/Damien Jemison/LLNL

(CNN) 米ローレンスリバモア国立研究所は、核融合反応を通じて使用した量を上回るエネルギーを生み出す「点火」の再現に成功したと発表した。もしも実用化できれば、無限に近いクリーンエネルギーを世界に供給することも可能になると期待される。

ローレンスリバモア国立研究所の国立点火施設は昨年12月、使用した量以上のエネルギーを放出する核融合点火に世界で初めて成功。同施設の今年12月の報告によれば、今年に入り、少なくとも3回にわたって核融合点火の再現に成功した。

核融合エネルギーは実質的に、地球に降り注ぐ太陽の力を再現するもので、長年にわたって研究が続けられている。

昨年、エネルギーの純増を達成したことで、次はこのプロセスが再現できると証明することが課題となっていた。

核融合は、原子力発電所で使われている核分裂と異なり、長寿命の放射性廃棄物が残存しない。

核融合は太陽などの恒星で起きている反応で、複数の原子を衝突させて密度の高い原子を生成し、その過程で大量のエネルギーを放出する。

国立点火施設では、水素燃料のペレットが入ったコショウの実ほどの大きさのダイヤモンドカプセルを金のシリンダーに入れ、200本近いレーザーを照射。シリンダーの外部をレーザーで加熱して超高速の爆発を連鎖させ、大量のエネルギーを熱として発生させた。

2022年12月の実験では、約2メガジュールのエネルギーを使って反応を引き起こし、計3.15メガジュールのエネルギーを発生させた。これはやかん10個ほどの水を沸騰させられる程度の量だったが、点火を成功させ、レーザー融合によってエネルギーが生成できることを実証した。

その後、今年7月30日には約2メガジュールの照射によって、これまでで最高となる3.88メガジュールのエネルギーを発生させることに成功。続いて10月にも2回の実験で純増を達成した。

「これで国立点火施設が一貫してマルチメガジュールの水準で融合エネルギーを生産できることが実証された」と報告書は述べている。

ただ、核融合が発電や暖房に利用できるようになるのはまだずっと先になる見通しだ。現時点では核融合プロジェクトの劇的な拡大やコストの大幅な引き下げが焦点となっている。

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