アフリカを後にした初期人類、通説より早くアジアに到達 化石の発見で判明
ラオスのタムパリン洞窟で発見された2つの化石は、下肢骨の断片と頭蓋骨(ずがいこつ)の前側の一部。この洞窟は2009年に見つかった考古学遺跡で、当時別の頭蓋骨の一部が発掘されていた。
洞窟からは今回の発見の他にも、2つの顎骨(がっこつ)、肋骨(ろっこつ)1本、指の骨1本が出土している。
現地の化石の年代を測定するのは困難だった。化石は放射性炭素年代測定法で測定可能な4万6000年前後よりも古く、しかも洞窟は世界遺産に登録された地域の一部で、そこから出た人類の化石の年代を直接同法で測定することはできない。ラオスの法律により地域が保護されているためだと、ウェスタウェー氏は説明する。
そこで研究に携わったチームは、2つの異なる技術を駆使して化石の年代を推定した。
研究者らは堆積(たいせき)層に含まれる石英と長石の発光(ルミネッセンス)を計測。これにより、結晶構造を持つこれらの鉱物が太陽を浴びて熱せられてからどのくらいの年月が経過したかが明らかになる。
また発掘を進めるうち、人の化石と同じ地層から動物の歯の化石2つも見つかった。研究者らはこれらの化石の年代を、ウラン同位体の放射性崩壊の計測によって割り出した。ウランは歯のエナメル質に含まれる化学元素。この技術は電子スピン共鳴(ESR)年代測定法と呼ばれる。