超加工食品の摂取、がん発症・死亡リスク増大と関係 英研究

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冷凍食品など超加工食品の摂取量とがん発症リスクの増大に相関関係が見られたという/Adobe Stock

冷凍食品など超加工食品の摂取量とがん発症リスクの増大に相関関係が見られたという/Adobe Stock

(CNN) 冷凍食品や出来合いの食品など超加工食品の摂取量が多いほど、がんの発症や死亡リスクが増大するという調査結果が1月31日の医学誌に発表された。この調査は英国で約19万7000人を対象に実施。調査対象者の半数超は女性で、特に卵巣がんのリスクが高いことが分かった。

超加工食品には、出来合いのスープやソース、冷凍ピザ、調理済み食品、ホットドッグ、ソーセージ、フライドポテト、ソーダ、市販のクッキー、ケーキ、キャンディー、ドーナツ、アイスクリームなどが含まれる。

論文の第1筆者で英インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生校フェローのキアラ・チャング氏によると、そうした食品は工業由来の成分で製造され、色や香り、食感を加えたり賞味期限を長引かせたりする目的で食品添加物が使われることが多い。

「超加工成分や添加物に対する私たちの体の反応は、ほとんど加工されていない新鮮で栄養豊富な食品に対する反応とは異なる」(チャング氏)

この研究にはかかわっていない英アストン医学校のデュアン・メラー氏によると、超加工食品の摂取量が多い人は、紅茶やコーヒーよりも炭酸飲料を多く飲み、野菜など健康な食生活に関連した食品の摂取量が少ない傾向がある。

このためがんのリスク増大は超加工食品のみの影響ではなく、健康的な食品の摂取量が少ないことの影響を反映している可能性があるとメラー氏は指摘する。

今回の研究では超加工食品の摂取と34種類のがんとの関係について、10年間にわたって調査した。

2006~10年にかけて住民を追跡調査したデータベースで19万7426人の食生活を調べた結果、超加工食品が食事に占める量は、少ない人で9.1%、多い人で41.4%だった。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの発表によると、食事パターンと病歴を照らし合わせて調べた結果、超加工食品の摂取量が10%増えると、がんの発症が2%増えることが判明。特に卵巣がんと診断されるリスクは19%上昇した。

がんによる死者も増えることが分かった。超加工食品の摂取量が10%増えるごとに、がんによる死亡リスクは6%増大し、卵巣がんによる死亡リスクは30%増大していた。

喫煙や運動などの要因を考慮して調整した後も、こうした相関関係は変わらなかった。

研究チームによると、超加工食品の摂取量が最も多いのは若者で、家族ががんになったことがある人は少なかった。また、体を動かすことが少なく、肥満と分類される人が多いことも判明。世帯収入や学歴は低く、低所得者の多い地域の住民が多い傾向があった。

今回の調査で判明したのは超加工食品とがんとの関係のみで、因果関係は証明されていないと、論文筆頭筆者のエスター・バモス氏は説明する。それでも「健康のために超加工食品を減らすことの重要性は、他の証拠でも裏付けられている」と指摘した。

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