大氷河が「完全消滅」 米シアトル近郊、7千年以上前に形成

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1988年に撮影されたヒンマン氷河/courtesy Mauri Pelto

1988年に撮影されたヒンマン氷河/courtesy Mauri Pelto

(CNN) 米ワシントン州にあるレーニア山とグレイシャーピークの山岳地帯で、氷雪に囲まれて何千年も存在し続けてきた氷河が消滅した。長年にわたって観測を続けてきた研究者が明らかにした。

米ニコルズ大学の氷河学者、マウリ・ペルト氏によると、消滅したのは同州シアトル東部のカスケード山脈にあり、この地域最大の氷河だったヒンマン氷河。気候危機が最後のとどめを刺す形となった。

氷河が失われているのはカスケード山脈北部にとどまらない。最近の研究では、もしも世界が温暖化を防ぐための野心的な目標を達成したとしても、地球上の氷河の最大で半分が、今世紀の終わりまでに失われる可能性があることが分かった。

専門家によると、ヒンマン氷河に代わって非公式に「ヒンマン湖」と命名された湖には、氷塊の痕跡が残っている。湖には氷河が解けた水がたまり、登山者がこの地を横断するのは難しくなった。

ペルト氏は40年にわたってヒンマン山を訪れて観測を続けている。2022年夏、米北西部で猛暑が続いて過酷な干ばつに見舞われる中、同地を訪れたペルト氏の登山隊は、ヒンマン氷河がなくなっているのを発見した。

「(ヒンマン氷河は)完全に消滅していた。山脈のこの部分で最大の氷河だった」とペルト氏は話し、氷河が再生する可能性はあるとしながらも、温暖化が続いていることから将来的に氷河の存続は一層難しくなるだろうとの見通しを示した。

シアトルの東部約80キロに位置するヒンマンと周辺の氷河は、太平洋に面した米北西部に生息するサケなどの水生生物にとって欠かせない存在だった。猛暑と干ばつが続く間もヒンマン氷河からスカイコミッシュ川には、氷河が解けた冷たい水が大量に流れ込んでいた。しかし気候危機が進むにつれ、氷河から流れ込む水量は激減した。

スカイコミッシュ川に注ぐ主な氷河では1950年代以来、表面積の約55%が失われていた。ペルト氏のチームの昨年の測定によると、コロンビア氷河は25%、フォス氷河は70%、リンチ氷河は40%、ヒンマン氷河は95%、それぞれ表面積が減退していた。

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