黒人の胎児を描いた医学イラストが拡散、書籍に掲載される運びに

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チディーベレ・イベさん/Chidiebere Ibe

チディーベレ・イベさん/Chidiebere Ibe

黒人の皮膚症状はイラストがないため、医学生による診断が難しくなっているとイベさんは指摘する。ムクウェンデさんは2人で力を合わせれば、多様性ある医学の教科書とはどうあるべきかを示した「世界への青写真」を作成できると語り、同書が「多様な肌の色の表現を調べる定番の教科書」として知られるようになればと期待を示した。

多様性の表現に「大きなギャップ」

米カリフォルニア大サンフランシスコ校皮膚科のジェナ・レスター助教はイベさんのイラストを「素晴らしい」と絶賛する。

レスター氏は同大の「スキン・オブ・カラー」プログラムの責任者を務める。黒人やアジア系、中南米系、先住民の人々が自分たちの症状を理解し、より安心して治療を受けられる場を提供するのが目的だ。

レスター氏が皮膚科の世界に存在する「大きなギャップ」に気付いたのは学生時代のこと。講師の1人が授業で、一部の症状は黒い肌では見え方が異なると説明したものの、実際にどう見えるかは教えてくれなかった。

イベさんは2020年から医学イラストに取り組み、様々な症状や解剖学的構造を描いている。対象はどれも黒人だ/Chidiebere Ibe
イベさんは2020年から医学イラストに取り組み、様々な症状や解剖学的構造を描いている。対象はどれも黒人だ/Chidiebere Ibe

「全体的に多様性の表現を増やすことが重要だと思う」「若い人は自分たちがこのような形で表現されているのを見て触発され、科学の分野に進んだり、医師や看護師などになったりするかもしれないから」(レスター氏)

こうした多様性の欠如は複数の研究で示されている。豪ウーロンゴン大学の研究チームが14年の研究で解剖学の教科書におけるジェンダーバイアスを調査したところ、08~13年に教科書17冊に掲載された性別を特定可能な画像6000枚あまりのうち、大多数は白人のもので、女性のものは3分の1ほどに過ぎなかった。

新型コロナで医療格差が浮き彫りに

欧米の一部の国では、新型コロナウイルス禍により有色人種に偏った影響が出ている。米疾病対策センター(CDC)の研究では、米国の人種的・民族的少数派は白人に比べ、新型コロナで入院や救急治療に至る割合が高いことが判明した。

レスター氏は「新型コロナ感染症は山積する格差の問題を浮き彫りにした。これをきっかけに、皮膚科などの分野に潜む格差とその表れ方について考えるようになった」と語る。

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