火星への有人探査、酸素はどう確保? 火星の塩水湖を使う新提案も

火星探査機キュリオシティが撮影した火星の表面。地下に眠る湖を使い酸素を調達できるのか/NASA/JPL-Caltech

火星探査機キュリオシティが撮影した火星の表面。地下に眠る湖を使い酸素を調達できるのか/NASA/JPL-Caltech

(CNN) 火星の地下にあるとされる塩水の湖から、人間の滞在に不可欠な酸素を取り出すことができるかもしれないとの研究結果が発表された。

米ワシントン大学のチームがこのほど、米科学アカデミー紀要(PNAS)に報告した。

火星への有人探査は完了まで5年かかる可能性があり、ミッションの維持に十分な酸素や燃料を宇宙船に積んで運ぶことは現時点で不可能だ。

2030年代に火星有人探査の実現を目指す米航空宇宙局(NASA)は、この問題に火星の現地で酸素を調達する方法で挑もうとしている。火星の大気は96%が二酸化炭素。酸素の割合は0.13%と、地球上の21%よりはるかに小さい。そこで火星の二酸化炭素から酸素を生成しようと「MOXIE」と呼ばれる装置の開発を進めている。

火星探査機パーサビアランスが火星上を進むイメージ図。酸素を生成する「MOXIE」の実験装置を積んでいる/NASA/JPL-Caltech
火星探査機パーサビアランスが火星上を進むイメージ図。酸素を生成する「MOXIE」の実験装置を積んでいる/NASA/JPL-Caltech

一方、今回ワシントン大学のビジェイ・ラマニ教授らが提案したのはそれとは異なり、塩水の電気分解により酸素を生成する方法だ。ラマニ氏はこれをMOXIEを補完するシステムと位置付ける。

火星に存在する水の大半は凍っている。だが2年前、火星の南極に広がる極冠の下に、液体の塩水に満たされた湖がある可能性が指摘された。さらに最近の研究で、湖の存在を裏付けるとみられる証拠と、その近くにあるとされる複数の池が見つかっている。

塩水は真水よりも凍結温度が低いために低温の火星でも液体の状態で存在し、それを電気分解することができると、ラマニ氏は説明する。

同氏らのチームはこれまで、海水を電気分解する技術を専門に研究してきた。火星に塩水があると聞いて、応用を思い立ったという。NASAなどから研究資金は出ていないが、今後10~15年で装置開発を進め、有望となれば導入を提案したいと意欲を示す。

ただこれに対し、NASAでMOXIEの研究を主導するマイケル・ヘッチ氏は、今のところ火星に大量の塩水が存在するという実質的な証拠はないと指摘。「凍結した形ではいくらか存在する可能性が高いものの、液体で見つかるとは思えない」「塩水の融点はセ氏マイナス70度でも、(氷が液体を経ずに気体に、またはその逆に変化する)霜点が同じくマイナス70度だということを忘れてはいけない。液体の塩水が存在したとしても蒸発してしまうだけだ。より正確に言えば昇華が起きる」と話す。

ヘッチ氏によれば、水の電気分解はいずれ、火星で燃料のメタンガスを生成するために重要な技術となる。ただ、必ずしも今回の論文の方法を用いる必要はないという。

同氏は「真水の氷なら火星にたくさんあって、すぐに見つかる。その氷を解かした水を二酸化炭素と共電解(同時に電気分解)し、最終的に酸素と燃料用のメタンを生成すればいい」と主張する。

そのうえで、火星で酸素をつくるには、まず探したり掘ったりする必要がなく、どこにでもある大気中の二酸化炭素から取り出すことを目指して、技術開発を進めていると強調する。また、氷が多く存在する高緯度帯は、NASAが当初人類を着陸させようとしている地点ではないとも言及した。

MOXIEのチームはトースター大の実験装置を昨年7月に打ち上げられた火星探査機パーサビアランスに搭載。砂嵐や二酸化炭素の温度などの環境要因が及ぼす影響を確かめ、有人探査用の大型で強力な装置の開発につなげる。最終的には家庭のキッチンより少し大きいサイズで、同探査機とほぼ同じ約1トンの重量となる可能性があるという。

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