「デザイナーベビー」に徐々に近づく生殖医療

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DNA情報から「バーチャルな胚」を作成し600種類以上の疾患の検査が可能に

DNA情報から「バーチャルな胚」を作成し600種類以上の疾患の検査が可能に

倫理学者であるグリーン氏は、親の意向で子どもを次のマイケル・ジョーダンにするような遺伝子改変は行うべきではないとの考えだ。人種差別や同性愛嫌悪を理由とした遺伝子操作にも反対だ。ただ、外見に影響を及ぶいくつかの技術の適用が今より広がる可能性があるとの見方を示す。

生殖医療技術を扱う企業、米ジーンピークスは、潜在的な精子提供者と受け取る側のDNAを使ってバーチャルな胚を作成、600種類以上の疾患を検査できるという。既存の検査方法を超えるこの手法は既に特許申請済みで、将来、飲酒や薬物使用の傾向を判定したり、身だしなみに気を使う人物になるか見分けたりできる可能性もあるという。

だが、米カンザス大学のアラン・ハンソン教授(社会人類学)は、技術が進化してもデザイナーベビーの質を競い合うような事態にはならないと予測。体外授精により子どもをもうけた女性ら数百人にインタビューしたが、大半の女性は「健康な子どもを欲しがる傾向にあり、それ以外の点では、自分に似た技能水準や知能を持つ子どもを欲しがる」という。

ハンソン氏によれば、女性はたいてい、結婚相手になったかもしれないタイプの男性ドナーの精子を選ぶという。「子どもの遺伝的な性質の向上が可能になると、人々はそれに飛びつき、妊娠をめぐる『軍備競争』が勃発するとの多くの予想がある。だが、私の研究ではそうした事態は見られず、その傾向が変わるとも思えない」と話す。

スペンサー氏も同意見だ。社会的に許容されていない行為に及ぶ一部の業者が出てくるのは避けられないが、それ以外のクリニックは信頼でき、専門的な指針を順守するだろうとの見方を示す。

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