ゾウの頭の毛は何のため? 米プリンストン大が解明
(CNN) ゾウの頭から背中にかけてまばらな毛が生えているのは、皮膚から熱を発散させるためだった――。米プリンストン大学の研究チームがそんな研究結果をまとめ、米科学誌プロスワンに発表した。
動物の体を覆う厚い毛は一般的に、寒さから体を守る断熱材の役割を果たす。しかし温暖な気候に生息するゾウの毛は、薄くまばらな生え方に特徴がある。
研究チームによると、ゾウは皮膚の表面積に対する体の体積の比率が高いため、ほかのどの動物よりも、熱を発散させる必要性が大きい。このため耳をパタパタさせたり砂や水をかぶったりして体温の上昇を防いでいるが、1日に発生する熱量を発散するためには、それだけでは不十分だという。
そこで研究チームはゾウの針金状の毛に着目。毛のない皮膚と、まばらな毛が生えた皮膚、厚い毛に覆われた皮膚の放熱効果をそれぞれ算出した。
その結果、ゾウはまばらな毛があるおかげで、かすかな風が吹いただけでも、皮膚からの放熱効果が最大で23%高まることが分かった。
毛の密度を1平方メートル当たりで換算すると、人間の頭髪の約200万本に対し、ゾウの頭部の毛は1500本ほど。その1本1本が、熱を伝える細長い突起の役割を果たしているという。アジアゾウはアフリカゾウに比べて毛が多く、子ゾウの方が成体より毛が多いことも分かった。