男性数十人が米アバクロに集団代表訴訟 前CEOの性加害を訴え
ニューヨーク(CNN) 米カジュアル衣料品大手アバクロンビー・アンド・フィッチが10年以上にわたって前最高経営責任者(CEO)による性加害に加担していたとして、数十人の男性が損害賠償などを求めて米ニューヨークの連邦裁判所に集団代表訴訟を起こした。
27日に裁判所に提出した訴状の中で原告側は、1992~2014年同社のCEOだったマイケル・ジェフリーズ氏について「アバクロンビーのCEOという地位を利用して、アバクロンビーのモデルになれると信じた魅力的な若い男性たちを食い物にした」と訴えている。
アバクロンビー側は、係争中の訴訟にはコメントしないとしている。
原告側は、ジェフリーズ氏が金銭や採用の約束と引き換えに、若い男性に対して性行為を強要したと主張。あるモデル志望の男性はニューヨークやフランス、ロンドンで開かれたアバクロのオーディションに招かれ、少なくとも7回にわたって性的暴行を受けたと訴えている。この男性は、アバクロのモデルになるためにはそうしなければならないと信じ込まされていたという。
被害者は合わせて100人を超えると原告側は主張。今回の訴訟をきっかけに名乗り出る男性はさらに増えると弁護士は予想している。
弁護士のブリタニー・ヘンダーソン氏は「性的搾取は性別を問わない」「モデルやファッション業界では何十年にもわたって男性が性的に搾取されてきた」と指摘する。
ジェフリーズ氏の長年のパートナーだったマシュー・スミス氏も、ジェフリーズ氏と共に男性に性的暴行を加えたとして被告に名を連ねている。
原告側はアバクロについても、ジェフリーズ、スミス両氏の性加害を認識しており、ジェフリーズ氏が被害者に支払う目的で会社関連の口座から自由に引き出していた金額を見て見ぬふりをしていたと主張。ジェフリーズ、スミスの両氏による性加害が原因で原告が体のけがや精神的苦痛を負った責任は会社にもあるとしている。
「アバクロンビーは、性取引ベンチャーの副産物として恩恵を受け、自分たちのブランドイメージ宣伝のために男性モデルを採用できていた。同時にジェフリーズ氏の満足感や生産性は保たれ、同社のイメージを刷新させて10億ドル業界へのリーダーへと転換させることができた」と訴状では述べている。
提訴の1カ月ほど前、英BBCは2年間にわたる調査報道に基づき、ジェフリーズ、スミスの両氏に性的に搾取されたと訴える男性8人の証言を伝えていた。
BBCの報道を受け、アバクロは独自調査の開始を発表した。