英HSBC、中国とインドでさらに攻勢へ

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英HSBCの香港本社ビルの前で青信号が点灯する=23日/Jerome Favre/EPA-EFE/Shutterstock

英HSBCの香港本社ビルの前で青信号が点灯する=23日/Jerome Favre/EPA-EFE/Shutterstock

香港(CNN Business) 英金融大手HSBCが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後のビジネス強化を図る中、アジアでの攻勢をさらに強める。配当も再開する方針で、今後の経営のかじ取りに自信を深めている兆候と見られる。

同行の本社はロンドンだが、その収益の大半はアジアで稼ぐ。22日の投資家に向けた財務報告で、アジア地域での投資を約60億ドル拡大し、重要な人員の再配置を含め同地域にさらにリソースを振り向ける計画を発表した。

HSBCは中国、東南アジア、インドを成長の「重要な原動力」と位置付ける。特に中国本土でのプレゼンス強化、香港での主導的地位の堅持、シンガポールの富裕層向け管理業務の拠点確立を図りたい考えだ。

アジアはパンデミック以前、HSBCの利益の8割以上を稼いでいた。マーク・タッカー会長は昨年もアジアが「他をはるかにしのぐ、最も利益のある地域に再びなった」との声明を出した。

今回の計画はその他の市場における事業のスリム化も含む。フランスではリテール部門の売却を交渉中で、米国のリテール部門は売却も視野に検討を進めている。

HSBCの昨年の税引き前利益は前年比34%減の88億ドルに、収益は同10%減の504億ドルに落ち込んだ。

だが、そうした数値はアナリストの予測を上回っている。さらに、1株当たり15セントの配当をできる限り早く復活させる方針も22日に示された。

新型コロナ流行の経済状況に適応

HSBCは昨年、他行と同様に英規制当局の要請で配当を見送った。英中央銀行のイングランド銀行は12月にこの指針を部分的に緩和した。

タッカー氏は「あれは難しい決断だった。株主に与えた影響を申し訳なく思う」としたうえで、取締役会がその後「将来的に持続可能な配当を行えるような指針を採用した」と説明した。

マッコーリー・キャピタルのアジア金融調査部門トップ、スコット・ラッセル氏は、世界の他の大手行と同様、HSBCも低金利の圧力や大手行間の厳しい競争、デジタル面での新興勢力の脅威にさらされていると言及。「トップダウンの風景はよくない」とも指摘する。

HSBCのノエル・クイン最高経営責任者(CEO)は同行が記録的な低金利で打撃を受けていると認め、22日の財務報告で資金利益を53億ドル逃したとの推計を示した。「金利がすぐに戻るとは予想していない」とも付言した。

コスト削減

1年前、HSBCは約3万5000人の人員削減を含む大規模な構造改革の計画を発表した。新型コロナ流行の中、一度は計画を停止したものの、その後は加速させた。

同行はこの数カ月、バックオフィスを自動化して手作業を削減する一方で、手数料ビジネスに注力する姿勢を示している。

クイン氏は「明日のHSBCはどのように見えるか。我々は実質的に次の3つに軸足を置こうとしている。アジア、富、手数料だ」と語る。

投資家に自信を示したい同行は22日、費用削減をさらに10億ドル進めると発表。2022年までに営業費用を310億ドルとする目標を掲げる。

同行は来年末までに1000億ドルの資産圧縮を進めるとした従来の計画も引き続き進める。イーウェン・スティーブンソン最高財務責任者(CFO)は目標達成まで「半分以上来た」と語る。

だが、先は長そうだ。前述のラッセル氏は、HSBCには「費用ベースの削減に向けた構造改革でやるべき多くの課題があるのは明らかで、すぐには終わらない。今後2~3年はこの話をするだろう」と指摘する。

同行がアジアを強化するのは、これまでのつながりと好調な業績を考えれば自然だ。クイン氏は「全員に対して全ての存在になろうとすることはやめる。我々の持つ利点を生かしたものを鮮やかに行っていきたい」と語った。

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