新型コロナ拡大で経済低迷、アジアの貧困層1100万人増も 世界銀行

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新型コロナの感染拡大でアジア経済が被る打撃について、世界銀行が試算を公表した/Ezra Acayan/Getty Images

新型コロナの感染拡大でアジア経済が被る打撃について、世界銀行が試算を公表した/Ezra Acayan/Getty Images

香港(CNN Business) 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が経済を落ち込ませることにより、東アジアと太平洋地域では新たに1100万人が貧困層へ転落する恐れがあるーー世界銀行がこのような試算をまとめた。何らかの「緊急行動」を起こさない限り、こうした事態が現実のものになるとしている。

米ワシントンを拠点とする世銀が3月30日に発表した報告書によると、最悪の場合、上記の地域の経済は約20年ぶりとなる急激な落ち込みを記録。アジアの大半が長期にわたるリセッション(景気後退)に突入するという。

基本シナリオが示す2020年のアジア地域の経済成長率は2.1%と、前年の推計の5.8%を下回る。しかしより悲観的な予測では0.5%のマイナス成長に陥り、危機が長期化する恐れがあるとしている。

感染拡大が発生した中国に限れば、基本シナリオは2.3%のプラス成長だが、事態がより悪化した場合は経済がほとんど成長しないプラス0.1%にとどまる見通し。昨年の中国の経済成長率は6.1%だった。

世界2位の経済大国である中国で成長が鈍化すれば、影響はあらゆる国々に波及する。とりわけアジア太平洋地域に関しては、域内全体で貧困や福祉といった問題に対する「深刻な打撃」に備える必要があると、報告書は警鐘を鳴らす。

同地域は米中の貿易戦争ですでに数カ月にわたる経済的な悪影響を被っており、どのようなシナリオを想定しても経済成長率の大幅な落ち込みは避けられないという。

中でもインドネシア、パプアニューギニア、フィリピンはより厳しい打撃を受ける公算が大きい。マレーシアやタイといった観光業への依存度が高い国々も、今後数カ月にわたり経済が著しく落ち込むとみられる。

基本シナリオでの予測によると、20年の東アジアと太平洋地域では、貧困層から抜け出せる人の数が前年よりも約2400万人減少する。より悪いシナリオの場合は、約1100万人が新たに貧困層に転落するという。貧困層は、1日5.5ドル以下の収入で生活する人々と定義される。

感染拡大前の同地域の予測では、20年全体で3500万人近くが貧困層から抜け出せるとみられていた。

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