ロボットに奪われる製造業の雇用、2030年までに2000万人
ニューヨーク(CNN Business) 世界の製造業で2030年までに、約2000万人の雇用がロボットに奪われる――。英シンクタンク、オックスフォード・エコノミクスが26日に発表した報告書で、そんな見通しを明らかにした。
予想では、世界の製造業の雇用のうち約8.5%がロボットに取って代わられる見通し。同時に新しい雇用も生み出されるものの、賃金格差が拡大する原因になりかねないと指摘している。
ロボットの使用は増えつつある。現時点では、ロボットが1台導入されるごとに、平均で1.6人の雇用が失われるとオックスフォード・エコノミクスは試算する。
ロボットのコストは人件費を下回るようになり、1台当たりの平均価格は2011~16年にかけて11%下落した。一方で能力は高まり、精密で多様な作業をこなせるようになっている。
ロボットによる自動化は生産性を高め、経済を押し上げる効果がある一方で、「同じ国の低所得地域と高所得地域の間で不均衡をもたらすという悪影響もある」と報告書は指摘する。
報告書によれば、製造業で高いスキルや知識を持つ労働者は、大都市に集中する傾向があり、そうしたスキルは自動化が難しい。このため大都市の方が、自動化への対応がうまくいきやすい。
全体で見れば、自動化によって失われる雇用に匹敵するペースで新しい雇用が生み出され、雇用喪失に関する懸念は相殺される見通しだ。ただし、雇用喪失の影響が大きい低所得地域では、能力のギャップが妨げとなって新しく生まれる雇用の均等な恩恵は受けられず、都市と地方の所得格差や、地域間の所得格差が増大すると予想している。