いじめに遭い、馬鹿にされ、孤立した男子生徒――21人を射殺した18歳容疑者の素顔

銃乱射事件の起きた小学校の前で言葉を交わす警官ら/Brandon Bell/Getty Images

2022.05.26 Thu posted at 18:00 JST

(CNN) 米テキサス州ユバルディの小学校で起きた銃乱射事件。児童19人と教員2人を射殺したとされる容疑者は、地元の高校に通う男子生徒だった。友人はほとんどなく、先週、18歳の誕生日にライフル銃2丁と弾薬を購入していた。

サルバドール・ラモス容疑者は24日、小学校に押し入り子どもたちのいる教室に立てこもって銃を乱射。最終的に警官隊が教室に突入し、ラモス容疑者は国境警備隊に射殺された。

ラモス容疑者の背景を調べると、いじめに遭い、孤立していた少年の姿が浮かび上がってきた。犯罪歴はなく、過去の大量射殺事件を引き起こした多数の銃撃犯と同様に、銃の権利を優先する政治体制の中で銃と弾薬に興味を持ち、合法的に手に入れていた。

地元州議会議員によると、ラモス容疑者は今月17日と20日、連邦政府の免許をもつ地元の業者からARライフル銃2丁を合法的に購入していた。18日には銃弾375発も購入した。

銃と弾薬は18歳の誕生日を記念して購入したものだった。

事件の3日前、容疑者のものと思われるインスタグラムのアカウントに、AR15型ライフル銃2丁の写真が掲載された。複数の同級生は、これがラモス容疑者のアカウントだったことを確認した。

ラモス容疑者のものと思われるインスタグラムのアカウントに掲載されたプロフィル画像

テキサス州のアボット知事の25日の記者会見によると、ラモス容疑者は小学校を銃撃する前に祖母を自宅で銃撃し、現場から逃走。車で小学校へ向かう途中で事故を起こし、ライフル銃1丁とバックパックを持ち、弾薬を入れた防弾チョッキを着て裏口から小学校に侵入した。

学校警官はラモス容疑者を阻止しようとしたが、発砲はせず、ラモス容疑者は教室に立てこもって、中にいた児童19人と教員2人全員を射殺した。

容疑者のことを知る同級生などはほとんどが、ラモス容疑者は人との付き合いがほとんどなく、孤立していたと証言する。

テキサス州公衆安全局によると、ラモス容疑者は地元の高校に通い、祖父母と暮らしていた。友人はなく、犯罪歴も、ギャング集団との関係もなかった。

日中は近くにあるファストフード店のウェンディーズでアルバイトをしていたといい、「物静かであまりしゃべらないタイプだった。他の従業員との付き合いもなかった」「ただ働いて、給与をもらうだけだった」と同店のマネジャーは話す。

元同級生はラモス容疑者について「ひどいいじめを受け、さんざんからかわれていた」と証言。着ている衣類のことや、家庭の経済状況のことで馬鹿にされ、「実際のところ、学校銃撃犯とか呼ばれていた」と振り返った。

事件の3日前、容疑者のものと思われるインスタグラム上に投稿されたライフルの写真

この元同級生は、ラモス容疑者とある程度親しかったといい、高校で隣に座って一緒にXboxのゲームをしたこともあるという。

しかし容疑者はだんだん登校しなくなり、時折Xboxで遊ぶ以外は同級生と連絡を取ることも少なくなった。

ラモス容疑者からAR15ライフル銃と、弾薬や弾倉を詰めたバックパックの写真が送られてきたときは、「なんでこんなの持ってるの?」と同級生が尋ねると、「気にするな」「今の自分は全然違って見える。きっと分からないよ」という答えが返ってきたという。

体育の授業が一緒だったというユバルディ高校の最上級の男子生徒はCNNの取材に対し、ラモス容疑者はとても静かで、いつも1人でいたと振り返った。同学年の女子生徒は「みんなに好かれていなかった。みんなが彼をからかったり、けんかしたがったりした」と話し、その理由は分からないと語った。

同級生だった元友人は、ラモス容疑者から1年以上前に、同容疑者が誰かとけんかしているスナップチャットの動画が送られてきたと打ち明け、「学校ではいつもけんかしていた」と振り返った。

アボット知事によると、ラモス容疑者に精神疾患歴はなかった。

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