米国のコロナ入院患者10万人超、ワクチン前の昨年より状況悪化

米ルイジアナ州シュリーブポートの病院の集中治療室で新型コロナの重症患者の数値を読み取る医療関係者/Gerald Herbert/AP

2021.08.27 Fri posted at 11:53 JST

(CNN) 米国で新型コロナウイルスによる入院患者が10万人を突破した。10万人を超えたのは今年1月以来。医療関係者は、患者の多さに再び対応が追い付かなくなりつつあると危機感を募らせている。

感染力の強いデルタ変異株の影響で症例数は急増し、現在のようなワクチン接種がまだ始まっていなかった1年前の同じ日に比べて倍以上に増えている。

病院関係者や研究者は、入院患者の大多数がワクチンを接種していなかったと述べていた。米食品医薬品局(FDA)ワクチン諮問委員会のポール・オフィット委員はCNNに対して25日、「今の数字は実際のところ、多くの点で昨年8月よりも悪い」「昨年8月は国民全体が感染しやすい状態にあり、ワクチンは存在していなかった。今、国民の半分がワクチンを接種したにもかかわらず、数字が悪くなっている」と述べ、デルタ株が状況を一変させたとの見方を示した。

米国では6月にデルタ株が主流になって以来、入院者数や症例数が激増した。

米保健福祉省によると、25日現在、新型コロナのため米国で入院している患者は10万317人を超え、約9週間前の6倍以上になった。

これまでに10万人を超えたのは、昨年11月下旬から今年1月初旬までの期間のみだった。

米カリフォルニア州ロサンゼルス郡の調査では、ワクチン接種を済ませた人の方が接種していない人に比べて新型コロナによる入院する確率が低いことが確認されている。

米疾病対策センター(CDC)がこのほど公表したロサンゼルス郡衛生局の統計によれば、ワクチンを接種していなかった人の感染率は、完全接種した人に比べて7月25日の時点で4.9倍、入院率は29.2倍だった。

ワクチンを完全接種していながら新型コロナに感染した人の入院率は3.2%だった。0.5%が集中治療室に入院し、0.2%は人工呼吸器を必要とした。

米ルイジアナ州シュリーブポートの病院の集中治療室で新型コロナの重症患者の数値を読み取る医療関係者

この調査は、ロサンゼルス郡で5月1日~7月25日にかけて感染が確認された患者を対象としている。

米国は人口の48.3%がワクチン接種を完了していない状況にあり、症例数の急増に伴って病院はひっ迫しつつある。

特にフロリダ州は人口当たりの入院者数が全米で最も多く、10万人中約80人に上る。

フロリダ州タンパのがん専門医ニテシュ・パーヤニ医師はCNNの取材に対し、「緊急治療を必要としていたがん患者を断らなければならなかった」「60年にわたる私の一家のがん治療の歴史で、患者を受け入れられなかったのは初めてだ。ただ病床に空きがなかった。患者を治療するための部屋が病院になかった」と打ち明けた。

パーヤニ医師が勤務する病院の緊急治療室はこのところ、12時間待ちの状態だという。

全米で新学期が始まる中で、専門家は子どもの感染の急増も懸念している。

テキサス州ヒューストンの子ども病院では、小児の新型コロナウイルスの症例数が前例のない増え方をしている。小児科のジム・バーサロビッチ医師によると、コロナ感染で入院する子どもの数は過去最高を更新し、子どもがこれまで以上に重症化する傾向がある。

バーサロビッチ医師によれば、子どもの症例数のピークは今年1月上旬の時点で1週間に900例超だったが、現在は1週間の症例数が1300例を上回っているという。

昨年から今年初めにかけては、子どもが陽性と診断されたとしても、症状は軽症か無症状だった。しかし現在は発熱やせきなどの症状がある子どもが増え、幼児や幼い子どもの入院が増えているという。

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