コロナ起源、研究所流出説に自然発生説と同等の信憑性 米政権高官

コロナ起源について研究所流出説を軽視していた米高官の認識に変化が起きているという/HECTOR RETAMAL/AFP/AFP via Getty Images

2021.07.18 Sun posted at 18:00 JST

ワシントン(CNN) 新型コロナウイルスの発生源をめぐる米情報機関の調査を監督するバイデン政権の複数の高官が、中国・武漢にある研究所からウイルスが誤って流出したとする説の信憑(しんぴょう)性について、ここへ来て野生動物から自然に発生した可能性と少なくとも同程度であると認識していることが分かった。

1年前の見解から大きく転換した。当時民主党は、いわゆる研究所流出説を公然と軽視していた。

ただ情報機関内部では、依然として2つの説のどちらが発生源なのかについて結論が出ていない。調査に詳しい複数の情報筋がCNNに明らかにした。バイデン大統領は今年5月、新型コロナウイルス感染症の本当の発生源を90日以内に突き止めるよう呼び掛けており、期限までにはまだかなりの日数が残っている。

情報筋によると、現時点で発生源の決め手となるような新たな証拠はほとんど見つかっていない。それでもバイデン政権の高官が研究所流出説を真剣に考察している事実は特筆に値する。この説を受け入れる動きは広がりつつあるものの、コロナウイルスの研究者やパンデミック(世界的大流行)の起源の調査に携わった科学者のほとんどは、自然発生説を強力に支持する証拠が出ていると口をそろえる。

現行の情報が裏付けるのは、ウイルスが動物と人の接触により自然発生した公算が最も大きいとする見方であり、意図的に作られたものだとする説ではないと、情報筋は述べた。ただそれはウイルスが武漢のウイルス研究所から偶然流出したものである可能性を排除するものではない。当時同研究所ではコウモリを使ったコロナウイルスの研究が行われていた。この研究に詳しい科学者の多くは、そうした流出が起こるのは考えにくいとしている。

研究所流出説の信憑性を自然発生説と同等とみているとされるサリバン大統領補佐官

情報筋の1人によれば、研究所流出説の信憑性を自然発生説と同等とみなす政府高官にはジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)も含まれる。1年前は流出説に懐疑的だった米中央情報局(CIA)のような機関も、現在は信頼できる調査対象の一つとしてこの説をとらえているという。

「彼らの見方が変わった」(情報筋)

一方で当局者らは、これまでのところまだいかなる結論にも達していないことを強調。サリバン氏も極めて慎重な態度を崩さず、調査が完了するまでは判断を留保するとしている。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は15日、ウイルスが研究所から流出し、パンデミックを引き起こした可能性を排除するのは「時期尚早」だと指摘。中国に対し、パンデミック以前とその発生時の研究所の状況について、直接的な情報を提供するよう強く求めた。

中国外務省の報道官は同日、声明を発表し、「パンデミックが始まって以来、中国は科学的かつ専門的な態度で、真剣に、責任をもってウイルスの起源を追跡し続けている」と強調した。

米政治ニュースサイト「ポリティコ」とハーバード大学が今月行った世論調査では、米国の成人の52%が新型コロナは研究所から流出したと思うと回答。昨年3月の調査での29%から増加した。

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