フランスやギリシャ、医療従事者のワクチン義務化 拒めば給与払わず

米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンを持つ医療従事者=1月6日、フランス/Christophe Archambault/Pool/Getty Images

2021.07.14 Wed posted at 11:15 JST

(CNN) 新型コロナウイルスの症例数が急増している欧州で、医療従事者のワクチン接種を義務化する国が増えている。中には国民全員の接種義務付けを検討している国もある。

フランスとギリシャは12日、医療従事者らのワクチン接種義務付けを発表した。

これに先立ちイタリアは4月に医療従事者のワクチン接種を義務化。英政府も10月から介護施設職員らの接種を義務付けると述べていた。

これに対してイタリアでは、接種を望まない医療従事者が複数の訴えを起こしている。英国ではワクチン義務付けに反対する署名嘆願に7万2000を超す署名が集まった。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は12日、医療従事者や介護・看護施設職員は9月15日までにワクチンを接種しなければならないと発表した。大統領の発表に続いてオリビエ・ベラン保健相は、ワクチンを接種していない医療従事者は出勤を禁止し、9月15日の期限後は給与の支払いも停止すると表明した。

マクロン大統領はさらに、「状況次第では間違いなく、フランス人全員にワクチン接種を義務付けるかどうかを自問しなければならなくなる」と述べ、国民全員に接種を義務付ける可能性を示唆した。

ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は12日、介護施設職員のワクチン接種を義務付けると発表した。接種を拒んだ職員は8月16日から停職処分となる。9月からは公立・私立を問わず、医療従事者全員に接種を義務付ける。

ミツォタキス首相はさらに、今月16日から8月末までは、ワクチンを接種した人のみが、娯楽施設やバー、劇場、映画館といった屋内商業施設に入場できると説明。「一部の人の態度のために、この国を再び閉鎖するわけにはいかない」「危険なのはギリシャではなく、ワクチンを接種していないギリシャ人だ」と強調した。

ワクチンの包装を行う工場を訪れたフランスのマクロン大統領(写真中央)=4月9日、フランス・パリ

一方、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は13日、ドイツ政府はワクチン接種を義務付けない方針を決めたと述べ、それでもさらに多くの人が接種を望むだろうと言い添えた。

フランスやドイツ、さらには欧州ほとんどの国は、インドで最初に確認されたデルタと呼ばれる変異株の影響で、新型コロナウイルスの症例数が急増している。デルタ株は感染力が強く、数カ月の間に世界中に広がった。

イスラエル政府は現在出回っているワクチンについて、デルタ株の感染を防ぐ効果はやや減退する可能性があるとの声明を発表した。それでも入院や死亡を防ぐ効果は高いようだとしている。

デルタ株の感染拡大を受け、ここ数日で再び規制を導入した国もある。

オランダは症例の急増を受け、9日からナイトクラブや飲食店に対する規制を再導入した。マルク・ルッテ首相は12日、記者団に対し、6月末に規制を緩和したことは「判断ミス」だったとして謝罪した。

スペインのバレンシア州やカタルーニャ州は集会などに対する新規制を導入。ポルトガルは危険性が高い一部地域に再び夜間外出禁止令を出し、観光客が宿泊施設を利用する際は陰性証明やワクチン接種証明の提示を義務付けると表明した。

一方、英国のボリス・ジョンソン首相は12日、来週から予定通り、新型コロナウイルス規制をほぼ全面的に撤廃する意向を示した。症例数が急増する中で規制を撤廃すれば、入院者数や死者の増加につながるだろうと認めたうえで、学校が夏季休暇に入り、気温が高い今のうちに経済活動を再開した方がいいと言い添えている。

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