都市封鎖でネズミ大量繁殖、体長40センチも 英ロンドン

害獣駆除業者によると体長40センチのネズミを捕まえることもあるという/CNN

2021.02.26 Fri posted at 18:00 JST

ロンドン(CNN) 英ロンドンのテムズ川南岸の地区リッチモンド。害獣駆除業者のマイケル・コーツさんは、用心深いネズミを探してごみ箱を点検していた。

「あそこには間違いなく何かがいる」。ごみがあふれた容器を蹴りながらコーツさんが言う。「ネズミたちは小さなサバイバルマシンのようなもの。捨てられた食品がいつもある場所には必ず戻って来る」

ロックダウン(都市封鎖)が長引く中、ロンドン市内ではネズミが人目に付きやすくなっている。

しかも、害獣駆除業者によると、ロンドン中心部の繁華街で多くの飲食店やオフィスビルが使われない状態が続く中、ネズミたちは餌を求めて住宅地へ移動しているという。

一家が自宅で過ごして食事も家で済ませるようになると、ごみが増えてネズミたちが郊外の住宅地に集まるようになった。さらに、野鳥の餌付けが庭に巣を作るネズミを引き寄せている。

「大好きなコマドリたちに餌をやっていた高齢の女性の場合、私たちに電話をかけてくるまでに、恐らく10~15匹のネズミが花壇の周辺に巣穴を掘っていた」(コーツさん)

ロンドン東部のエッピングフォレストを拠点とする害獣駆除業者のポール・クレイドンさんは、もっと悪い事態を目撃した。クレイドンさんが駆除した集団は、家族がペットとして飼っていたウサギ小屋に通じる穴を掘り、ウサギを餌にしようとしていた。

クレイドンさんによると、普段はネズミ駆除の依頼の電話は1週間に10件ほどだが、ロックダウンが始まってからは20件をゆうに超える状況が続いているという。

害獣駆除業者でつくる英害獣駆除協会(BPCA)によると、会員から寄せられたげっ歯類の活動報告は、2020年春の最初のロックダウンの時に51%増え、2回目のロックダウンが始まった11月には78%増えた。今年の統計はまだまとめていないものの、目撃情報は増えており、多くの世帯が自分たちで対処しなければならない公衆衛生問題の様相を呈しているという。

「ネズミたちも必死なので、普段は見かけないような場所で見ることもある」「ネズミは柔らかい金属やれんがなど、非常に硬いものもかじり抜くことができる」(BPCAのナタリー・バンゲイさん)

ネズミ駆除に関する限り、ロンドン市に包括的な計画はないらしい。ロンドン市長事務所はCNNの取材に対し、この問題に関するデータの収集は市内の32区がそれぞれでやるべきことであり、市としてデータの収集は行っていないと説明した。

ロックダウンが長引く中、ネズミたちは餌を求めて住宅地へ移動しているという

しかしリッチモンド・アポン・テムズ区の広報は、ネズミに関するデータの収集も、害獣駆除サービスの提供も行っていないとしている。

ロンドンにどれくらいの数のネズミがいるのかは誰にも分からない。ただ、民間の駆除業者の調査によれば、2000万匹を超す可能性もあるとされ、ロンドンの人口900万人を上回っていると思われる。

ネズミは繁殖の速度も速い。駆除業者レントキルの調査によると、繁殖期のたった1組のつがいから、1年で約1250匹が生まれることもある。

ネズミの大型化も進んでいる。クレイドンさんによると、このごろは体長40センチのネズミを捕まえることも珍しくなくなり、わなの強度を強めて毒の量を増やす必要に迫られているという。

ロンドン住民も大胆になったネズミを見かけることが多くなった。東部のタワーハムレッツ区に住むジェン・ジョンソンさんは、「私が歩いていると、1匹が私の方に向かって来た」「もう1匹が住宅街を走り抜けるのを見て悲鳴を上げた。4年前からロンドンに住んでいるけれど、こんな状態は見たことがない」「以前は美しいと思っていた場所にも出没する。しかも今は巨大なネズミがいる」とこぼしていた。

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