(CNN) インドがパキスタンおよびカシミール地方のパキスタン実効支配地域で「テロリスト」の拠点を空爆してから1日。戦況の大部分には依然として「戦場の霧」が立ちこめている。
パキスタンの指導者は、自国の空軍による大勝利だと強調。160キロを超える距離を挟んで行われた1時間の交戦でインドの戦闘機5機を撃墜したとしている。
インドの指導者はパキスタンの主張に対して特段何も言及していないが、自軍の攻撃で「テロリスト」の複数の目標を想定通り叩(たた)いたとして、多くの攻撃の証拠だとする映像を公開した。
インドは航空機の喪失を一切認めておらず、パキスタンもこれまでのところ、戦闘機の撃墜を裏づける証拠を全く提示していない。だが、フランス国防省の情報筋は、インドの最新鋭軍用機である仏製戦闘機ラファールが少なくとも1機失われたと明らかにした。
軍事アナリストはパキスタンの主張は未確認だとして、慎重姿勢を示す。とはいえ、インド側もパキスタンの主張について否定しているわけではない。
地元住民や政府当局者はCNNの取材に、カシミール地方のインド支配地域にある学校に未確認の戦闘機が墜落したと証言。AFP通信が公開した写真には、野原に横たわる機体の残骸が写っている。ただ、機体の残骸から戦闘機の所属や墜落原因を即座に判別することはできなかった。
CNNは撃墜の主張について独自に検証できていない。

航空機の残骸を運ぶブルドーザー=ウーヤン/Tauseef Mustafa/AFP/Getty Images
SNS上には戦場の各地で航空機の残骸が見つかったとの主張が他にも出回っているが、過去の交戦や別地域のものと判明した情報もある。
パキスタンの今回の主張に多少の誇張が混じっているのは確かだ。
パキスタン情報筋はCNNの取材に、数十機の戦闘機が「ドッグファイト」を展開し、ジェット時代に類を見ない空中戦になったと語った。
パキスタン国防相も同様の説明を行い、CNNに「これらの機体はドッグファイトで撃墜された。我々の機体からミサイルが発射され、撃墜された。ごく単純な話だ」と述べた。
「ドッグファイト」という言葉は、戦闘機が急旋回や急降下、急上昇しながら敵のミサイルのロックオンを回避しようとする映画「トップガン」の派手な接近戦を想起させる。
ただ、パキスタン情報筋の説明にある戦闘はそうした接近戦とは程遠く、長距離ミサイル戦の色合いが濃い。
現代の戦闘機は多くの場合、約160キロ離れた距離から地上や空中の目標を一切目視せずに攻撃できるスタンドオフミサイルを搭載している。
さらに、パキスタン、インド両国とも高度な長距離地対空ミサイルを保有しており、こうしたミサイルは迫り来る攻撃を阻止するため相手領土の奥深くに撃ち込むことが可能だ。
インドが7日の会見で示した映像がもし本物なら、強固な防空システムでインドを撃退したとのパキスタンの主張は幾分揺らぐことになる。
おそらく、どちらの側の主張にも一定の真実が含まれているのだろう。インドは航空機を失い、パキスタンは防空網を突破されたということだ。
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本稿はCNNのシニア・グローバル軍事リポーター、ブラッド・レンドン氏による分析記事です。