中国の観光地に押し寄せる人波、リスクは依然大きいと専門家が警告

安徽省の観光地、黄山に押し寄せた観光客=4日/Weibo/Laodaxinyi/Banyuetan

2020.04.07 Tue posted at 11:08 JST

香港(CNN) 新型コロナウイルスの感染者が減少傾向にある中国で、祝日と重なった先の週末にかけ、人気観光地や主要都市に大勢の人が詰めかけた。これに対して衛生当局は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はまだ到底終わっていないと警告している。

安徽省の観光地、黄山で4日に撮影された写真には、何千人もの観光客らでぎっしり埋まった遊歩道の様子が映っていた。厳格な移動制限や都市封鎖が何カ月も続いた後、アウトドアを楽しもうと大勢の人がマスク姿で繰り出した。

国営英字紙グローバル・タイムズによると、これを受けて当局は午前7時48分、同公園の入園者数が1日2万人の上限に達したとする異例の通告を行い、それ以上の観光客は受け入れないと発表した。

一方、上海では、人通りが途絶えていたウォーターフロントの人気スポット外灘が、数週間ぶりに買い物客や観光客でいっぱいになった。わずか数日前まで閉店していた市内のレストランもにぎわっている様子だった。

首都・北京でも、地元の人などが市内の公園や広場に詰めかけた。

中国ではこの数週間で新型コロナウイルスの感染者が急減し、6日に新たに報告された症例は39例のみ。1例を除けば全て外国から持ち込まれた感染だった。これまでに確認された症例は8万2641例、死者は3335人に上る。

政府は徐々に規制を緩和しているが、中国の専門家は、まだ流行が終息したわけではないとして、引き続き慎重な行動を呼びかけている。

首都・北京でも清明節を祝うため、大勢の人が集まった

中国疾病対策予防センターの専門家は2日、中国の新型コロナウイルス感染について、「終わりに近づいたのではなく、新しい段階に入った。世界的流行が猛威を振るう中で、中国が終わりを迎えたわけではない」と強調した。

新規の感染者数が減る中で、中国政府は暫定的に、製造業やサービス業の再開に向けた取り組みを始めている。

しかしこの数週間は、再開を急いで流行の第2波が起きることを警戒する動きもみられるようになった。

予定されていた映画館の再開は3月下旬になって見送られ、上海の観光アトラクションの多くは再開からわずか10日後の3月31日に再び閉鎖された。

黄山が人混みでごった返す写真がSNSに投稿されると、中国共産党の機関紙、人民日報は、「集まってはいけない」と強く警告。同紙によると、黄山は観光客の受け入れ中止を発表した。

香港の専門家や当局も、中国が新型コロナウイルス関連の規制をあまりに早く緩めれば、香港でも感染の「第3波」が起きる可能性があるとして警戒を強めている。

香港では、欧州や英国から戻った市民らが引き起こした感染の第2波が3月下旬に発生。わずか2週間のうちに、感染者数は317人から900人近くまで急増した。

香港行政会議の招集人、陳智思氏は5日、公共放送のRTHKに対し、流行拡大を封じ込めるために飲食店の営業制限や市全域のロックダウンも含め、さらに厳格な措置を講じる可能性もあると語った。

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