米テキサス州の原油生産、世界3位に迫る勢い

米テキサス州の原油生産が中東の産油国を上回るペースで急拡大している/Millraw/Getty Images

2018.07.19 Thu posted at 19:41 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米テキサス州での原油生産活動が活況を呈し、来年にも石油輸出国機構(OPEC)加盟の主要産出国であるイランやイラクを上回る可能性があることが19日までにわかった。

英国の金融グループ大手「HSBC」が最新報告書で予想した。テキサス州を国とした場合、ロシアとサウジアラビアに次ぐ世界3位の産出量に相当するだろうとも評した。

同州はシェールオイル層の開発が好況で、掘削コストの下落もあり同州北部のパーミアン盆地での生産量は爆発的に増えている。同盆地の埋蔵量などは既存油田では最大規模のサウジのガワール油田に匹敵するとの見方も一部ある。

原油生産のコストは急速な技術革新もあって急激に低減しており、同盆地の油井は1バレル当たり40米ドル(約4520円)以下でも採算が取れるとされる。

テキサス州の南部には大型油田「イーグル・フォード」もある。HSBCによると、パーミアン、イーグル・フォードの2大油田の総生産量は2014年の日量250万バレルが19年には560万バレルに増大する見通し。米国の合計生産量の半分以上を占めることになる。

一方、イラクは日量約480万バレル、イランは300万バレルとされる。イラン産原油の供給量は米国の経済制裁もあり今後落ち込むとみられている。米国は今秋までに世界最大の産油国に浮上するとの予想も出ている。

パーミアン盆地では、生産された原油のための送油管不足が深刻化

ただ、テキサス州では油田開発事業が余りにも急速に進んだための弊害も表面化している。パーミアン盆地では送油管不足が深刻化しており、業者は割高で安全対策でも不安がある鉄道やトラック輸送の代替策の検討を強いられている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、送油管不足が原因がパーミアンでの稼働する油井の数は今年6月、5個減った。米国の全体的な油井数は安定している中での落ち込みだった。

また、急激な開発競争は油田の必要備品や関連サービス分野でのコスト高も招いている。一部企業が支払うサービス面での経費は10〜15%増になったという。さらに、人員確保も厳しくなっており、テキサス州などの失業率が低いことが事態をさらにこじらせてもいるという。

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