香港(CNNMoney) ロシア国営企業のトランステレコムは3日までに、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)政権に対してインターネット接続サービスの提供を開始した。北朝鮮分析サイトの「38ノース」が伝えた。サイバーセキュリティーの専門家も、ロシアと北朝鮮との新たな関係を確認した。
米国との対立が深まる中、これで北朝鮮はサイバー防衛能力の強化を図り、中国への依存度を低下させることが可能になる。
専門家によれば、これまで北朝鮮のインターネット接続サービスは、中国聯合通信のみが提供していたが、今回新たにロシアのバックアップが加わった。
トランステレコムはCNNの取材に対し、北朝鮮とは2009年に交わした契約に基づき、通信関連の取引があると説明している。
これに先立ち米紙ワシントンポストは、米サイバー軍が先の週末にかけ、北朝鮮軍の情報機関と連携するハッカーに対して攻撃を仕掛けたと報じていた。
ロシアが関与したことにより、北朝鮮に攻撃を仕掛けるためにはロシアのインターネットインフラを経由させる必要が生じ、事態は一層複雑さを増す。
セキュリティー企業ファイアーアイの専門家ブライス・ボーランド氏は、北朝鮮の新しい接続サービスについて「国内外のインターネット接続の数を増やすことで、攻撃に対する耐性が高まる」と解説した。
トランステレコムはロシア国営鉄道会社の傘下にあり、鉄道網に沿って敷設された光ファイバーケーブルは、北朝鮮との国境までつながっている。
インターネット接続サービスの提供を通じてロシアは北朝鮮に対する影響力を強めると同時に、北朝鮮のインターネットを監視することも可能になり、「ロシアにとってウィン・ウィンの関係」とボーランド氏は指摘している。