シカゴ（ＣＮＮ） ローマ教皇レオ１４世のスポーツウェア姿が目撃された。今回はＡＩ（人工知能）ではなかった。
初の米国人ローマ教皇のレオ１４世（本名ロバート・プレボスト）はシカゴの出身。米大リーグの地元チーム、ホワイトソックスのベースボールキャップを着けた姿でバチカンの公の場に姿を見せた。こうしたカジュアルな装いを白い法衣に合わせたローマ教皇は初めて。１１日にベースボールキャップ姿で週に１度の一般との交流の場に現れ、笑顔で写真に収まっていた。この場で新婚カップルに面会したレオ１４世は、ローマ教皇の伝統的な服装規範と、結婚式の服装規範の両方を破った。
レオ１４世のスポーツ好きは、５月８日にローマ教皇に選出された直後から指摘されていた。ただし「カブスかホワイトソックスか」が問題だったが、間もなく兄のジョン・プレボストさんがマスコミの取材に対し、レオ１４世がホワイトソックスのファンだったことを確認。ホワイトソックスが８８年ぶりにワールドシリーズを制した２００５年の試合を観戦する映像まで出回った。
ホワイトソックス応援をはじめとするレオ１４世の素顔が紹介されると、瞬く間に親しみやすい教皇のイメージが出来上がった。２日間にわたったコンクラーベを経て選出された直後から、画像や映像を面白おかしく合成したミームが拡散。シカゴの地元紙シカゴ・サンタイムズはローマ教皇を意味するＴｈｅ Ｐｏｐｅをシカゴ流の発音で「Ｄａ Ｐｏｐｅ」と呼び、シカゴ風ホットドッグとジェプソンズ・マロルト（シカゴが愛するガソリンのようなリキュール）のボトルを手にしたレオ１４世のＡＩ生成画像も飛び交った。出身校のビラノバ大学の卒業生たちもつながりを誇示しようと、ビラノバ大学の制服を着たレオ１４世のＡＩ生成画像を競って投稿した。
祭服に身を包んだレオ１４世＝９日/Vatican Pool/Getty Images
ローマ教皇を題材にしたミームが出回ったのは今回が初めてではない。前任のフランシスコ教皇も、２０２３年にバレンシアーガの白いダウンジャケットを着た画像がＡＩで生成されて話題を呼んだ。
この象徴的な装いは本物ではなかったものの、フランシスコ教皇の在任中は、より現代的でリラックスした教皇の威厳を示す装いが支持を集めた。その前任のベネディクト１６世が古風で華麗なアクセサリー（鮮やかな赤い革のローファーなど）を好んだのに対し、アルゼンチン出身のフランシスコ教皇は、簡素なローブと医療用インソールの入った実用的な黒い靴を身に着けた。
ストリートアーティストが描いた新たな壁画では、レオ１４世がシカゴ・ブルズのユニホーム姿で描かれている/Massimo Valicchia/NurPhoto/Getty Images
これに応じてザ・カット誌は２０１５年、フランシスコ教皇を「ノームコア（普通志向の）教皇」と形容し、エスクァイア誌は１３年の「男性ベストドレッサー」に選出。ジャージ姿で（公の場に）現れることはなかったものの、フランシスコ教皇もサッカー大好きなスポーツファンで、特に出身地のサン・ロレンソ・デ・アルマグロを応援していた。
就任から１カ月たったレオ１４世は、これまでスタイルで注目されることはあまりなかった。しかし存在感を放つホワイトソックスのキャップは変化の兆しかもしれない。ローマにはＮＢＡのシカゴ・ブルズのユニフォームをまとったローマ教皇の壁画が登場した。ブルズのユニフォームの赤は、昔ながらの教皇を彩る伝統色でもあり、一種の前触れになるかもしれない。
