「女性は技術職に向かない」、米グーグル従業員の主張で物議

グーグル社内に広まった女性の技術者に関する文書が物議を醸している

2017.08.07 Mon posted at 10:17 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 女性は「生物学的な」理由から、技術職には向かない――。米グーグルの男性技術者がまとめたそんな文書が社内で共有されていたことが発覚し、ソーシャルメディアで激論が交わされている。

問題の文書は以前からグーグル社内で出回っていたが、ITニュースサイト「マザーボード」の5日の報道で明るみに出て、メディア各社が全文を掲載した。

これを受けてグーグルの多様性担当副社長ダニエル・ブラウン、技術担当副社長アリ・バローの両氏がそれぞれ従業員向けの通知を出して文書の内容を批判、多様性を追求する同社の取り組みを強調した。

報道によると、文書を執筆したのはグーグル一般従業員のソフトウェアエンジニア。グーグルに女性技術者が増えないのは、男性の方が「上昇志向が高い」ためだと論じ、若い女性を対象としたプログラミングセミナーなど同社の多様性プログラムは「高度に政治的」と主張した。

さらに、女性の採用を増やそうとするグーグルの取り組みは競争力の低下につながるという持論を展開。性別による賃金格差は神話にすぎないとも主張し、女性の方が不安障害にかかりやすいという実態は、「ストレスの高い職種に就く女性が少ない」ことの説明になるかもしれないと論じている。

これに対して同社技術職トップのバロー氏は、そうしたステレオタイプ化は大きな問題であり、有害でもあると反論した。

ブラウン氏も「性別に関する誤った思い込みを展開している」として同文書を批判。「これは私や当社が支持、推進、あるいは奨励する見方ではない」と強調した。

大手IT企業の間では、社員に占める女性の割合を高めることが課題となっている

ソーシャルメディアにもこの問題に関する投稿が相次いだ。プログラマーだという女性はツイッターへの投稿の中で、もしグーグルの人事が何の対応もしなければ、同社をやめることも考えていると打ち明けた。

かつてグーグルに勤務していた女性技術者エリカ・ベイカー氏は、今回の文書について「失望したが、予想外ではない」とコメント。「今回の行為に取り立てて目新しさはない。目新しい点があるとすれば、この従業員が8ページに及ぶ性差別的な論議を長々と展開して社内で共有しても大丈夫だと思った点だ」と指摘した。

グーグルをはじめとするシリコンバレーのIT企業は長年にわたり、非白人・非男性の従業員が占める割合が低い問題に対応しようとして苦戦してきた。

同社が6月に発表した報告書によると、全従業員に男性が占める割合は約69%、白人が占める割合は56%に上っている。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。