クロアチア・トバルニク(CNN) 欧州の難民危機問題で検問所閉鎖や国境フェンス構築など流入阻止の強硬手段を示すハンガリーは18日、非常事態の宣言を延長し、隣国オーストリアやクロアチアとの国境線で今週末からフェンスを建設する方針を明らかにした。暫定的な措置としている。
クロアチアとの国境線に既に展開させている軍兵士600人を増強し、さらに500人を追加派遣するとも発表した。ハンガリー政府の国際広報担当部門によると、対クロアチア国境沿いのフェンス工事は既に始まっている。長さは41キロ。
シリアなどからの難民や移民らはこれまでハンガリーをドイツや北欧諸国への主要な経由地としてきたが、ハンガリーの締め出し措置でクロアチアへ大挙して向かう動きを見せている。
そのクロアチアもセルビアからの難民らの殺到に対応し切れず、国境検問所の閉鎖に追い込まれた。クロアチア政府は当初、同国に逃れる難民らを通過させる方針を示していた。
同国警察は18日、難民ら1万4000人以上が国境開放後に入国したと述べた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、同国は1日当たり500人の難民らへの対応策しか準備していなかったという。
クロアチアに入国した難民らはドイツなどを目指すため、スロベニアやオーストリアを通過しなければならない。ただ、クロアチア経由でのオーストリア入りのルートは1990年代のバルカン紛争の戦闘地域となっており、地雷や不発の兵器などが雑木林地帯に残る危険地帯ともなっている。
スロベニアは難民らの国内通過を警戒しているとされ、ミロ・ツェラル首相は17日、ツイッター上で同国は欧州連合(EU)の対外的な境界線を守ると言明。難民らの通過の黙認は同国とEUの法律に反するとの考えを示した。オーストリアも対スロベニア国境での入国検査を強化した。
シリア、イラクやアフガニスタンなどの難民らの欧州への移動は18日も続いた。トルコやヨルダン、レバノンのある難民キャンプは過剰な収容状態で、世界食糧計画(WFP)による食料配給も資金不足のため切り詰められている。
難民危機の打開策が見えない中で、ハンガリー、クロアチア両国関係もきしみ始めた。ハンガリー政府報道官はクロアチアは難民ら1000人と40人のクロアチア人警官を乗せた列車を許可なくハンガリー領内の駅に向かわせたと非難。国際法違反であり、完全な違法活動とし、難民らの不法越境を助けていると主張した。
列車は駅で差し押さえられ、クロアチア警官は武装解除され、同国へ送り返された。列車の運転士は拘束された。ただ、難民らには避難施設、食料や治療支援も提供するとしている。