シー・シェパード、沈没した「密漁船」の乗組員を救助

2015.04.08 Wed posted at 18:19 JST

(CNN) 国際環境保護団体シー・シェパードの船が6日、西アフリカ沖で沈没した船の乗組員40人を救助した。沈没したのは密漁船とみられ、シー・シェパード側が南極海で発見してから追跡を続けていた。

密漁船は通称「サンダー」で、詐欺や漁業関連の犯罪行為を繰り返していた疑い。国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)が2013年12月にニュージーランド政府の要請を受け、各国警察などに手口などの情報を提供する「紫手配書」を出していた。正体を隠すために、これまで名前や船籍を何度も変えていたとされる。

激しい反捕鯨活動で知られるシー・シェパードの抗議船「ボブ・バーカー号」が昨年末、南極海でサンダーに遭遇した。

サンダーは刺し網を使って違法にマジェランアイナメ(メロ)を捕獲していたとみられ、網を放棄して現場海域から逃げ出した。シー・シェパードから別の船が出動して網を回収したところ、その全長は72キロに及び、時価300万ドル(約3億6000万円)相当のマジェランアイナメがかかっていたという。

ボブ・バーカー号はその後110日間にわたり、南極海からギニア湾までサンダーを追跡した。船体に体当たりされそうになるなど攻撃も受けたが、6日早朝にサンダーからの救難信号を受信した。

サンダーとの距離はわずか数百メートルだった。

「船が沈没するので放棄する」との連絡があったため、乗組員を全員救助してボブ・バーカー号に迎え入れた。船医が健康状態を確認し、食べ物や水を与えた。

乗組員はインドネシア人が大半を占め、救出されてほっとしている様子だった。一方、スペイン人とみられる上級船員らは、シー・シェパードに助けを求めるしかなかったことに不満そうな表情を見せていたという。

ボブ・バーカー号のハンマーステッド船長がCNNとの電話インタビューで語ったところによると、サンダーの乗組員は7日早朝、西アフリカの島国サントメ・プリンシペの沿岸警備隊に引き渡された。同船長は「サンダーの船長以下、責任者が訴追されることを願っている」と述べた。

ハンマーステッド船長は、サンダーの船長が違法行為の証拠を隠滅する目的で故意に船を沈めたと主張し、「100%の確信がある」と述べた。沈没直前のサンダーに送り込んだチームによると、船内のハッチはこの時すべて開放されていた。船が沈没しかけた時は、浮力を維持するためにすべての船室を密閉するのが通常の対応とされる。サンダーが完全に沈むと、救命ボートに逃れていた船長は歓声をあげて拍手したという。

チームはまた、サンダーの船内からコンピューターや携帯電話などの機器と、1匹を回収した。機器類は証拠として捜査当局に提出する方針だ。

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