低炭素社会は実現可能 「ただちに行動を」 IPCC報告書

2014.11.03 Mon posted at 12:24 JST

(CNN) 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2日、地球温暖化に関する統合報告書を発表し、温室効果ガスの削減に向けてただちに行動を起こすべきだと強調した。

報告書は3万件の科学論文に基づき、執筆者830人と査読者2000人が参加して作成された。執筆者らは地球が温暖化していること、その原因が人間活動であることについて、かつてないほど確信を強めているという。

報告書は、現状を放置した場合、気候変動によって人々や生態系が「深刻で広範に及ぶ不可逆的な影響」を受ける可能性は高まるばかりだと警告した。

IPCCによれば、産業革命前からの気温上昇を摂氏2度未満に抑えるという目標を達成するためには、世界の温室効果ガス排出量を2050年までに70%削減し、2100年にはゼロにする必要がある。

国連の潘基文(パンギムン)事務総長は記者会見で、「指導者たちが行動を起こさなければならない。時間との闘いだ」と呼び掛けた。

温暖化の緩和策を扱うIPCC第3作業部会の共同議長、ユバ・ソコナ氏は、二酸化炭素(CO2)などの排出を大幅に削減する低炭素社会は技術的に実現可能だと強調し、「今欠けているのは適切な政策と制度だ。行動を起こすのが遅くなれば、対策のコストはそれだけ高くなる」と訴えた。

報告書はコストの予測を示していないが、気候変動によって世界の経済成長は深刻な打撃を受けると指摘する。潘事務総長は、温暖化対策に膨大なコストがかかるというのは誤った通念だと主張し、一方で行動を起こさなかった場合の経済的、社会的コストは大きいと強調した。具体的な対策としては、再生可能エネルギーの普及と省エネ推進を挙げた。

米国のケリー国務長官はこの報告書を「さらなる警告」と位置づけ、「ただちに大胆かつ断固たる行動を起こす必要がある」と述べた。

IPCCのパチャウリ議長も「われわれにはチャンスがあり、選択はわれわれ次第だ」と語った。

来年11月末には、パリで国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が開催されることになっている。

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