(CNN) バットマンにあこがれる少年が、スーパーヒーロー「バットキッド」に変身して街を救う――。米ボランティア団体が15日、白血病と闘う5歳児の夢をかなえ、舞台となったサンフランシスコは街を挙げてこれに協力した。
カリフォルニア州北部のオレゴン州境近くに住む幼稚園児のマイルス・スコット君は生後1年8カ月で急性白血病と診断され、つらい治療に耐えてきた。家族によれば、今年6月の化学療法以降、回復した状態を維持している。バットマンを熱烈に愛するマイルス君の夢をかなえようと、難病の子どもたちを支援する団体、メイク・ア・ウィッシュのサンフランシスコ支部が立ち上がった。
1万2000人を超えるボランティアの協力で、サンフランシスコはこの日、バットマンの舞台、ゴッサム・シティに早変わりした。マイルス君は「かっこいいバットマンの衣装を買おう」とだけ告げられ、家族とともに市内のホテルに到着した。
朝一番に、サンフランシスコの警察本部長がバットマンと少年ヒーロー、バットキッドの助けを求めているという速報が入った。マントとマスクに身を固めてバットキッドに変身したマイルス君は、バットモービルに取り付けたチャイルドシートに乗り込み、秘密基地バットケイブに見立てたホテルの駐車場から出動した。
マイルス君は爆弾を縛り付けられた「とらわれの姫」を救出したり、悪役リドラーの銀行強盗を阻止したりと大活躍。警察の先導で市内を駆け巡るマイルス君は、行く先々で市民の歓声に包まれた。マイルス君の弟もバットマンの相棒、ロビンに扮して隣で参加した。
市庁舎は前夜にバットマンカラーの青と黄色にライトアップされ、滞在先のホテルの壁にもコウモリのマークが浮かび上がった。市中心部のユニオンスクエアでは、地元紙サンフランシスコ・クロニクルが「バットキッドが街を救う」という号外を配った。
ソーシャルメディアのツイッターやインスタグラムにはこの日、バットキッドの活躍を応援するメッセージや画像があふれた。
メイク・ア・ウィッシュの言葉を借りれば、マイルス君はスーパーヒーローから勇気をもらったという。だがこの日はマイルス君自身が、多くの人々を勇気付けるスーパーヒーローになったのだ。
白血病の少年がスーパーヒーローに!