(CNN) 米空軍で無人機の操縦を担当していた男性が、米誌GQのインタビューに応じ、モニター画面ごしにミサイルを発射して人を殺害し続けてきた経験を語った。軍を退役した今は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされているという。
米軍の無人機を巡っては、訪米中のパキスタンのシャリフ首相が23日に行ったオバマ米大統領との会談で、無人機攻撃をやめるよう求めたことを明らかにした。
その前日の22日には国際人権団体が、パキスタンとイエメンでの無人機攻撃に関して住民の証言などをまとめた報告書を発表。民間人多数が犠牲になっており、戦争犯罪に当たる可能性もあると指摘している。
無人機の操縦を担当していたブランドン・ブライアントさん(27)のインタビューは、GQの11月号に掲載された。初めて人を殺したのは2007年。ネバダ州の空軍基地にある管制室からアフガニスタンの無人機を操り、ミサイル「ヘルファイア」を発射して地上にいた3人を殺害した。赤外線カメラの映像でその様子を見ていたという。
「煙が晴れると、ミサイルでできた穴の周辺にバラバラになった2人の遺体が見えた。3人目の男性は右足を失って転げ回り、足からは血が吹き出していた。その血は熱かった」
「男性が死ぬまでには長い時間がかかった。私はただ見ていた。男性が横たわっている地面と同じ色になるのを見ていた」
民間人の犠牲者については、07年、アフガニスタンで自分が発射したミサイルが建物に命中する直前に、その建物に向かって走る影を見たと語った。小さな影は子どもの姿に見えたという。
しかし上司に尋ねたところ、「あれは犬だ」という答えが返ってきた。
明らかにあれは犬ではなかったとブライアントさんは言う。その攻撃に関する報告書には最終的に、犬のことも子どものことも触れられていなかった。
米国防総省は繰り返し、無人機は米兵の死を防ぎ、米国をテロから守っていると説明してきた。ブライアントさんも当初は無人機が人命を助ける一助になると信じ、実際に武装勢力の残虐行為も目の当たりにしてきたと話す。
しかし約6年間この任務を続けるうちに、次第に無感覚になり、「ゾンビモード」で任務に当たるようになっていたと振り返る。
特別報酬の誘いを断って退役を決めたのは11年だった。ブライアンさんが関わった作戦の実績をまとめた文書には、計約6000時間の無人機操作で殺害した人数として、1626人という数字が記されていた。
退役後は酒びたりになり、うつ状態の日が続いてPTSDと診断された。無人機の操縦に携わった担当者の多くがブライアントさんと同様、PTSDに悩まされているという。
米無人機攻撃を非難 人権団体