英、亡命希望者のルワンダ移送認める法案可決
(CNN) 英議会は、政府が亡命希望者を東アフリカのルワンダに移送し、ルワンダが亡命申請を検討することを可能にする法案を可決した。同法案は人権を理由に反対する議員や活動家により審議が難航していた。
この法案は英国への非正規移民、特に犯罪組織によって手配された違法かつ危険な小型ボートでフランスから入国する人々を阻止することを目的としている。
理論的にはこの法律により、英国に上陸した人々はルワンダに移送され、そこで亡命申請が検討されることになる。亡命申請が受理されれば申請者はルワンダにとどまることができる。拒否された場合、ルワンダは英国以外の場所に人々を国外退去させることはできないとしているが、実際にどうなるかは不明だ。
同計画が最初に表明されてから2年間、移送がなかったことは、以前から小型ボートによる入国の阻止を重要な優先事項に掲げていたスナク首相にとって大きな失敗だったとみられている。
英国の最高裁判所は昨年、亡命希望者がルワンダに移送された場合、母国への強制送還を理由に不当な扱いを受けるという現実的な危険に直面すると信じるに足る相当な根拠があるとして、この法案は違法だと判断した。
最高裁は、政府が2021年、ルワンダが「超法規的殺害、勾留死、強制失踪、拷問」を行ったと批判したことにも言及した。
一方、政府は今年1月、ルワンダの亡命と移民に関する法案を提出し、ルワンダが安全な国であることを英国の法律に事実上明記。裁判官の懸念を回避した。
クレバリー内相は22日、X(旧ツイッター)に投稿した動画で「ルワンダの安全法案が議会で可決され、数日以内に法律になる」と述べた。
クレバリー氏はこの法律は「人々が移送を阻止するために人権に関する虚偽の主張を行い、法律を悪用することを防ぐ。そして英議会が主権者であることを明確にし、欧州裁判所が課す暫定的な禁止措置を拒否する権限を政府に与える」と付け加えた。
法案が可決されたとしても、英国は欧州人権条約の批准国であるため、英政府が欧州人権裁判所で法的な問題に直面する可能性はある。欧州裁判所は以前、亡命希望者のルワンダへの移送を禁じていた。