安いウクライナ穀物運ぶ列車「襲い」線路上に投棄 ポーランド

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トラクターで車列を作るポーランドの農家ら=20日/Czarek Sokolowski/AP

トラクターで車列を作るポーランドの農家ら=20日/Czarek Sokolowski/AP

(CNN) ウクライナの隣国ポーランドで地元農民らが安価なウクライナ産穀物を運ぶ列車の運行を阻止し、穀物を線路上に投棄する抗議活動をこのほど起こした。

これに反発するウクライナのクブラコフ・インフラ担当相は、デモ隊が貨車を開け、穀物が線路に流れ落ちる様子を収めた動画を公開もした。

ポーランドの農民グループは、抗議活動は今月9日から30日間続けると宣言。ウクライナとの国境線上にある入国経路の封鎖にも出ている。似たような抗議活動は、フランス、イタリア、スペイン、ルーマニア、ギリシャ、ドイツにオランダでも起きた。

中欧や東欧諸国の農家は昨年以降、流入する廉価なウクライナ産穀物が国内産品の値段を押し下げ、地元の農家に打撃を与えているとして態度を硬化。ウクライナ産穀物とは価格面で太刀打ちできないとし、欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会に金銭的な補償を要求してきた。

ウクライナは生産量の多さから欧州屈指の穀倉地帯とも称される。ただ、侵攻したロシアが黒海の港湾を封じ込め、穀物輸出を阻止したことから事情が一変した。

世界的な食料供給の維持に懸念が強まり、欧州委員会は昨年5月に輸出活動をはかどらせるため「連帯の経路」と称する輸出ルートを設ける事態に追い込まれていた。同委はまた、ウクライナ産穀物の輸出で全ての課税や割当量も一時的に廃止する措置を講じた。結果的に安い穀物が欧州へ出回る事態につながっていた。

域内の農家の反発が広がった後、欧州委は無税かつ割当量なしのウクライナ産穀物の輸入を2024年6月まで延長させるとの暫定的な決定も下していた。

この中でウクライナのゼレンスキー大統領は21日、同国産穀物の輸出に絡む問題を話し合うためポーランドのトゥスク首相とドゥダ大統領に対し両国国境での会談開催を申し出た。

ウクライナは政治的な操作と重要な国家安全保障問題を区別できる全ての人々へ謝意を示したいと指摘。「我々はウクライナやポーランドの農民に屈辱を与えてはならない。必要とするのは団結だ」と訴えた。

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