有力なTikTok配信者が首都で撃たれ死亡、LGBTQ取り締まりの渦中で イラク

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同性愛に反対するイスラム教徒の信者ら。幕にはレインボーフラッグにアラビア語で「同性愛社会にノー」の文字が書かれている=7月25日、イラク南部ナシリヤ/Asaad Niazi/AFP/Getty Images

同性愛に反対するイスラム教徒の信者ら。幕にはレインボーフラッグにアラビア語で「同性愛社会にノー」の文字が書かれている=7月25日、イラク南部ナシリヤ/Asaad Niazi/AFP/Getty Images

バグダッド(CNN) 動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」での動画共有で人気を博していたイラクのユーザーがこのほど、首都バグダッドで銃撃され死亡した。同国の治安関係者がCNNに明らかにした。

23歳のヌーア・アルサッファーさんにはTikTokとインスタグラムを合わせて37万人を超えるフォロワーがいた。動画の内容は服や頭髪、メーキャップのスタイルに関するものが大半で、音楽に合わせてダンスを披露することも多かった。25日の銃撃を受け、アルサッファーさんの死を嘆くコメントが多数寄せられたが、中には事件を喜んだり、発砲した男を称賛する書き込みも見られた。

イラクの治安に携わるある情報筋は匿名を条件にCNNの取材に答え、事件を巡って「捜査が始まっている」と説明。遺体は検視局に送られたと述べた。治安関係者らがメディアに発言することは認められていないという。

イラク警察の報道官は26日、銃撃を「犯罪事件」と位置づけ、今後重要な情報更新を行う予定だと付け加えた。

今回の殺害はイラク当局が性的少数者(LGBTQ)による表明を取り締まり、その非合法化に向けて動く中で発生した。現行の法律ではLGBTQであることを禁止していないが、刑法の中の緩やかに定義された道徳条項に基づき、該当する人々はしばしば標的とされている。

アルサッファーさんは銃撃前からネット上での攻撃の対象になっていたほか、セクシュアリティーやジェンダーに関する質問も投げかけられていた。2020年に受けたインタビュー動画では、「自分はトランスジェンダーでもなければゲイでもない。異性の服装をしたいだけのモデル。それ以外の傾向はない」と発言。自身のことは男性と認識しており、モデル並びにメーキャップアーティストとして働いていると説明していた。

また複数の動画で、ソーシャルメディア上の脅迫を受けていると明かしてもいた。内容は服装の選択に関するものだったという。

イラクの議会に提出された新法が採択されれば、同性愛には死刑もしくは終身刑が適用される。「同性愛の促進」には最短で7年、「女性のまね」には最長で3年の禁錮刑が科されることになる。

イラクではこの数カ月でLGBTQの人々に対する差別や暴力が一段と顕在化していると、複数の人権団体が警鐘を鳴らす。

同国のメディア規制当局は8月、国内の全メディアおよびソーシャルメディア企業に対し、「同性愛」の用語を禁止すると発表。代わりに「性的逸脱」の表現を使用するよう要請した。

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