タイの「ロスジェネ」、総選挙で変化を渇望

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2020年のデモ参加時、メディアの取材に答えるチョンティチャ・ジャングルー氏/Lauren DeCicca/Getty Images

2020年のデモ参加時、メディアの取材に答えるチョンティチャ・ジャングルー氏/Lauren DeCicca/Getty Images

しかし、アナリストらが「ゲームチェンジャー(形勢を一変させる存在)」と目しているのは前進党の方だ。

初の総選挙に挑む前進党の政策には、急進的な国家改革への取り組みが含まれる。それはタイの保守的な既得権益層の立場を揺るがしかねない脅威となる。

同党の公約は、タイの国家運営の方法を抜本的に改革するというものだ。軍に変革をもたらし、経済に力を入れ、権力の分散を進める。従来誰も手を付けてこなかった王室の改革も掲げる。

国内でタブー視されてきた王室改革を選挙の争点に据える前進党について、識者の中には今回の総選挙をかつてないものにしている要因と見なす向きもある。

ロイター通信によれば、先週発表された別個の2つの世論調査では、前進党を率いる42歳のピタ氏を次期首相に推す声が最も多かった。党の掲げる改革志向の政策が若年層のみならず社会全体にも浸透しつつある実態がうかがえる。

路上から候補者に

3年前、軍や王室の改革を訴えた民主派の抗議デモは警察による鎮圧で終焉(しゅうえん)を迎えた。今回の総選挙の立候補者には、当時のデモに参加した人々もいる。

デモで中心的な役割を果たした30歳のチョンティチャ・ジャングルー氏は、現在前進党の候補者として選挙戦を戦う。CNNの取材に答え、「私たちは自らをロスジェネだと感じている。自分たちにとって最も重要な年月を、独裁政権の下で過ごしている」「私たちはもっと一生懸命働かなくてはならないと繰り返し言われてきたが、この国では将来が見えない。依然として家どころか、車さえ持つのは難しい」と訴えた。

チョンティチャ氏が選挙活動で掲げる党の政策には軍の予算と規模の縮小、兵役の廃止、軍の任命する上院議員の排除、「国民のためになる」新憲法の起草などがある。

この他、タイ政府には人権と表現の自由の尊重を望むとし、王室への名誉毀損(きそん)などを禁じる刑法の「不敬罪」の改正も訴えている。

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