ANALYSIS

イタリアの移民問題 首相が移民船を止めるのか、移民船が首相を止めるのか

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イタリアのメローニ首相。昨年の総選挙は移民の入国拒否などを掲げて勝利した/Remo Casilli/Reuters

イタリアのメローニ首相。昨年の総選挙は移民の入国拒否などを掲げて勝利した/Remo Casilli/Reuters

ローマ(CNN) イタリアで昨年9月に行われた総選挙でジョルジャ・メローニ氏が率いる極右連合が地滑り的勝利を収める要因となったのは、これまで誰もなしえなかった公約だった。すなわち、イタリアから欧州への上陸を図る移民船の阻止だ。

当時、メローニ氏のソーシャルメディアには、移民を満載した密輸船の写真とともに「Blocco navale(ただちに海上封鎖!)」の文字が躍っていた。

メローニ氏は選挙遊説で、乗船者が誰であれ、命の危険を冒してまで海を渡る理由が何であれ、移民船は一切イタリアの海岸に上陸させないと約束した。

就任後100日間は順風満帆と思われた。

首相は一部で懸念されていたほど極右に傾くことはなく、マルチリンガルで政界にも精通していたことから、世界各国の首脳にもすんなり溶け込んだ。

移民船阻止というメローニ首相の公約の可能性からリベラル派の欧州各国首脳も得をすることから、大勢が実現に期待を寄せた。ハンガリーのビクトル・オルバン首相をはじめとする保守派もメローニ氏の当選を祝福し、「欧州国境を守ってくれた」ことに感謝した。

ウクライナの戦争について意見が食い違うものの、メローニ首相は、マッテオ・サルビーニ氏やシルビオ・ベルルスコーニ氏と上手く連立を組んだ。

いくつかの難関も潜り抜けた。ベルルスコーニ氏が誕生日にウラジーミル・プーチン大統領からロシア産ウォッカを贈られ、再び親交を深めていることを認めるという騒動もあった。プーチン氏を敬愛するサルビーニ氏と、エネルギー危機対策をめぐって対立したこともあった。1月末まで、メローニ首相は飛ぶ鳥落とす勢いだった。

そこへきて、移民船が相次いでイタリアにやってきた。

今月21日までに船でイタリアに到着した移民の数は3万5000人余りで、前年より3倍以上も多い。対照的に、フランスから海を渡って英国に到着した移民の数は今年に入ってから現在まで4000人強だ。

選挙では34%の得票率で勝利したメローニ氏率いる与党「イタリアの同胞(FDI)」だが、最近の世論調査では支持率が29%をわずかに上回る程度だ。

首相が移民船を阻止できるとは誰も期待していなかったので、支持率低下は首相の継続したウクライナ支援や対中関係といった別の問題を反映しているという見方もある。

イタリアは、世界規模でのインフラ構築という中国の野心的な経済圏構想「一帯一路」に賛同している。専門家の間では、高まる中国の影響力を懸念する声があがっている。

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