ニカラグア、修道女2人を国外追放 カトリック教会と野党への弾圧続く
(CNN) 中米ニカラグアの介護施設で働いていた修道女2人が今週、国外へ追放された。同国のオルテガ大統領は野党指導者やジャーナリスト、カトリック教会への弾圧を広範囲に行っている。
強権的なオルテガ氏はかねて国内の聖職者を標的とし、キリスト教の司教らを「テロリスト」と呼んでいる。同氏はカトリック教会が2018年の反政府抗議デモを支援したと糾弾。政府はこのデモを「クーデター未遂事件」と位置付ける。
コスタリカ国籍を持つ当該の修道女2人は、いずれも12日にコスタリカへ到着した。現地の教区が明らかにした。
同教区の司教によれば、2人はニカラグアで介護施設を経営していたという。司教はこの他、支援者らに対し、2月に投獄されたニカラグアのロランド・アルバレス司教のために祈るよう呼び掛けた。
政府を明確に批判する姿勢で知られるアルバレス司教に対し、ニカラグアの司法は禁錮26年を言い渡した。罪状はニカラグアの国家と社会への攻撃、虚偽の報道の拡散などだった。
司教には弁護士がつけられず、これらの訴えに反論することもできなかった。
12日には、2月下旬にニカラグアを出国していた同国トラピスト会の修道女のグループも、政府が自分たちの修道院を差し押さえ、国の農業技術研究所に引き渡したと訴えた。
CNNはニカラグア政府に対し、両方の件に関する返答を求めている。
ニカラグアでは18年以降、数万人が迫害を逃れて祖国から脱出している。この年、オルテガ政権は拡大する反政府抗議デモを弾圧。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、この取り締まりで数百人が殺害され、数千人の負傷者が出ている。恣意(しい)的に拘束された人も多数いるという。
2月、政府は政治犯200人以上を釈放したが、その多くは米国が受け入れている。