ANALYSIS

アジアの軍拡競争、制御不能に陥る危険性がある理由

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中国海軍は浙江省舟山市の軍港からロシアとの海軍演習に向かう=2022年12月20日/Li Yun/Xinhua News Agency/Getty Images

中国海軍は浙江省舟山市の軍港からロシアとの海軍演習に向かう=2022年12月20日/Li Yun/Xinhua News Agency/Getty Images

過去の蒸し返し

中国の主張によれば、懸念の根底には歴史的理由があるという。中国は日本が第2次世界大戦中の軍国主義に回帰することを恐れているというのだ。当時日本軍はアジアの広い地域を支配し、中国は痛手を負った。1937~45年の8年間、日本との戦争で約1400万人の中国人が命を落とし、最大1億人が故郷を追われた。

中国国内の基地も攻撃可能なトマホークなどの長距離「反撃能力」を保有するという計画から、日本が東アジアの平和を再び脅かすのがわかるというのが中国政府側の言い分だ。

だが批判的な人々は、中国が過去の傷を蒸し返すのには別の動機があるのではないかと考えている。自分たちの軍備増強から世間の目をそらそうという動機だ。

急拡大する中国の軍事力に日米が懸念を示す中、中国政府は声高にこれを否定しながらも日本周辺の領域で海軍、空軍力を伸ばし、日本が統治する東シナ海の無人島、尖閣諸島の主権を主張している。批判的な人々からはこうした指摘が出ている。

日本は昨年12月、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の接続水域で中国政府の船舶が1年間に334日も目撃されていたと発表した。2012年に日本政府が民間人の所有者から尖閣諸島の一部を購入して以来の最多記録だ。12月22~25日には、中国政府の船舶が尖閣諸島沖の日本領海内に73時間連続で侵入したが、これも侵入時間としては12年以来最長だ。

中国はロシアとの友好関係の強化でも緊張を高めている。米国務省は先ごろCNNの取材に答え、中ロの友好関係で日米協定に拍車がかかっただけでなく、北京オリンピック直前にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が緊密な友好関係をアピールしていた状況でロシアのウクライナ侵攻があり「動きが一気に加速した」と語った。

ロシアもまた太平洋地域で軍事力を発揮している。12月にはロシア軍艦が東シナ海で、中国軍の艦船および航空機と実弾での合同演習を1週間にわたって行った。

こと台湾となると、中国政府の攻撃的な態度はとくに顕著だ。中国政府は2400万人の人々が自ら統治するこの島を一度も支配したことがないが、中国の領土だと主張している。

習氏は、軍事力を行使して台湾を中国統治下におく可能性を否定していない。とりわけ昨年8月に当時の米国下院議長ナンシー・ペロシ氏が台湾を訪問して以来、中国は台湾周辺で攻撃的な軍事活動を増している。ペロシ議長訪台の数日後には台湾を取り囲む異例の軍事演習を行い、けん制のため複数のミサイルを台湾近海に発射し、軍用機を派遣した。

最近では今月上旬、28機の戦闘機を台湾海峡の中間線に派遣した。具体的にはJ10、J11、J16、Su30戦闘機と、H6爆撃機、ドローン3機、早期警戒管制機などだ。この時の軍事演習は、人民解放軍が中央線を越えて戦闘機47機を派遣した昨年末のクリスマスの軍事演習に似ている。

こうした動きが見られる中、米国の固い意志は変わらない。米国政府は台湾関係法に定められた義務に沿う形で、増え続ける台湾への兵器供与リストの承認を続けている。

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