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「解放を祈っていた」 ウクライナ軍が奪還した街、現地の様子は CNN EXCLUSIVE

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ロシアの占領から解放された街、現地の様子は

ウクライナ・イジューム(CNN) ロシア軍のシンボルである「Z」が描かれた戦車やトラックが焼け焦げた状態で道路の脇に横たわる。ぼろぼろで、できたばかりのさびで赤茶けている。崩落した橋は「地雷注意」の看板だらけだ。さらに先を行くと、崩壊したガソリンスタンドの傍らに残された車の残骸。周囲には砲弾の破片が散らばっている。

これらはウクライナの勝利の象徴であり、さしあたってはロシア軍の敗走劇が残した痕跡だ。

ウクライナ軍が10日にイジュームを奪還して以来、CNNは国際テレビ局取材班として初めて街に足を踏み入れた。そこで取材班が目にしたのは、6カ月にわたる占領が終わったという新しい現実に直面したばかりの街の姿だった。

ウクライナ軍の情報筋は、イジュームとともにハルキウ州のほぼ全域がついに「解放」されたとCNNに語った。イジュームの陥落はロシア軍にとって戦略的に大きな痛手だ。この街は東部ウクライナにおけるロシア軍の要衝であり、供給経路でもあったからだ。北東部でウクライナ軍が展開してきた電光石火の反撃のスピードと規模がうかがえる。

ボロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、ウクライナ軍が南部で並行して行った反撃と合わせて6000平方キロメートルの領土を奪還したと明らかにした。ロシア側はこの地域からの撤退について、ドンバス地方周辺に軍備を集約するための「戦術的」なものだと述べている。

イジュームでは、市街地の安全を確保するための作業が今も進行中だ。ウクライナ軍は今なお隠れているわずかなロシア兵士を捕えようとしている。占領時にロシア軍に協力した住民もだ。街の情報網は遮断されたままで、電話も電波も届かない。占領地域全般でロシア軍が敷いている戦術だ。

CNN取材班が見る限り、地元住人は街がウクライナの手に戻ってほっと胸をなでおろしていた。

イジュームの道路はほとんど静まり返っていたものの、住人たちが思い切って外に出てCNNの車両や通り過ぎる軍のトラックに向けて手を振ったり、ウクライナ兵士と出くわすたびに手を握ったりする姿が時折見られた。

だが同時に、ロシア兵への恐怖はいまも街を支配している。CNNが接触した住人の多くが、恐怖のあまりこの数カ月に街で起きた出来事を進んで話そうとしなかった。

50代の夫婦が取材に応じてくれたが、ファーストネームしか語らなかった。

ワレリーさんは、皆が街の奪還を祝福していると言い、ウクライナの勝利を「魂の鎮静剤」と呼んだ。

「戦闘や血が流れることなく解放されるよう神に祈っていた。それが実現した」(ワレリーさん)

遠くから砲弾の音が聞こえる。今回の反撃で目覚ましい成果を収めたとはいえ、戦争に勝ったわけではないことを絶えず思い知らされる。ウクライナの大半は今もなお、ロシアが抱える大量の重火器の射程距離にある。

ウクライナ軍はゆっくりとだが、イジュームをはじめとする奪還した領土が日常に近い状態に戻れるよう復旧作業を行っている。

CNNの取材中、ウクライナ兵士の一団が勝ち誇ったように、白煙を上げながら戦車を走らせていた。見るからに喜びながら、逃走したロシア兵が無傷のまま残していったロシア製自走砲を素早く戦車にくくりつけた。ロシアが擁する兵器の中でもとくに強力な部類に入る武器で、このあとウクライナが反撃するために再利用される。

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