偽の「住民投票」を前に住民が多数脱出 ロシア占領下の南部ヘルソン

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オレクサンドル・ビルクル氏はウクライナ軍が約7000人の前線からの避難を支援したと語る/CNN

オレクサンドル・ビルクル氏はウクライナ軍が約7000人の前線からの避難を支援したと語る/CNN

ただその前日になり、ロシアの支援を受ける当局者がヘルソンの「新政府」の顔ぶれを発表したことから、観測筋の間では、こうした新人事を優先して住民投票が延期された可能性もあると指摘されている。

差し迫る投票や、それによりロシアの支配が強化される可能性を恐れ、多くの住民は急いで脱出した。

クリビーリフの軍事行政当局トップを務めるオレクサンドル・ビルクル氏はCNNに対し、ウクライナ軍は100マイルに及ぶ前線の一帯から約7000人を避難させることに成功したと語った。

「人々は占領下で暮らすことを望んでいない。そんなことは不可能だ」(ビルクル氏)

ヘルソンを脱出するルートや周辺の村には危険が潜む。

この1週間、いったん脱出に成功したヘルソン住民が再度ロシア軍に妨害され、長い車列(地元住民は数百台に上ると推定する)が占領下の町スニフリッカに向かうことを余儀なくされた。

ヘルソン住民が撮影し、CNNが確認した別の動画には、同市の北東からクリビーリフに向かう別の道路で長い車列が立ち往生している様子が映っている。

当局者によると、キリスト教東方正教会のイースター(復活祭)に当たる先週末、避難のペースは上がっていた。それが26日、ロシアの検問所が占領地域からの通過を許可しなくなったことを受け、ペースが鈍化。死に物狂いの避難者の中には、車を捨てて野原を徒歩で歩く人もいたという。

安全上の理由から匿名を希望したヘルソン出身の母親はCNNに対し、投票前に「できる限り早く」2人の息子と娘1人を連れ出したと語った。住民投票後には18~60歳の男性が徴兵されるとの恐れがあるという。

「私たちは完全な占領下にある。食料もお金も何もない。ロシア人は住民投票を行って子どもたちを連行するはず。私の息子は18歳で、使い捨ての兵士として連れて行かれるだろう」。この女性は2回脱出を試みた。1回目はロシア軍が避難車列に向けて発砲したという。

一方、クリビーリフにある活気あふれたホールでは食料や医薬品が配給され、避難者は寄付された服も手に入る。この安全な空間の中で、避難者らが占領の恐怖と残虐さについて口を開いた。

ヘルソン州の村に妻と子どもを迎えに行ったという首都キーウ(キエフ)在住のミハイロさんは、村に入った後、数日にわたってロシア兵から拷問を受けた。

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